田柾國 ページ14
.
「ようこそ御出下さいました」
今晩は 彼 。
丁寧に三つ指をつき 、頭を下げている 。
ただ 、顔を上げると … 。
「… なんだ、またヌナですか 。そんなに僕のこと好きですか？」
「可愛くないなぁほんとに」
くりくりの瞳 、ウサギを思わせる愛らしい 前歯 。
この遊郭でも 一位 、二位の人気を争う 美少年 。
ジョングク 。
すぐに膝を崩して 、座椅子を私に差し出して 。
あぐらをかいたまま 、瓶を ぐいっと仰ぐ姿 。
また少し 、男らしくなっただろうか 。
座って 、彼の出した酒瓶に手をつける 。
「… でも、割と久し振りじゃないですか？僕のところに来るの」
「なんだ。嬉しがってんじゃん」
「嬉しがってませんよ。ただ浮気は許せませんね」
「浮気するのがあなたの仕事でしょ(笑)」
あははっ と笑う グク 。
やっぱり魅力的 。
お察しの通り 、彼は 未成年 。
ここで働き始めた時は たったの15歳だった 。
法律やら 常識やら
そんなもの 、この空間では 意味を成さない 。
私がグクに初めて会ったときは 、
既に ウイスキーお湯割りを 数杯軽々と飲んでいた 。
ただし 、タバコは 吸わないんだって 。
美味しくないから 、らしい 。
なんか可愛い 。
「今日は何しに来たんですか？どんなに揺さぶられても情報は漏らしませんからね」
私を警戒するように 、わざとらしく睨みつけてくる グク 。
確かにグクからは 色んな情報盗んだからなぁ … (笑)
「そんなに自信あるの？(笑)」
「もうあの頃の僕とは違います」
「あの頃のぐぅちゃん可愛かったなぁ〜」
「あー！その名前 やめてください！」
ぐぅちゃん 。
グクはそんな風に呼ばれると 、よく拗ねる 。
男らしくない 、なんかナメられているような気がする 。 これが彼の言い分だ 。
でもそうやって彼が怒れば怒るほど 、可愛さっていうのは増していくもの 。
呑気(のんき)に笑う私を 、
グクは むっ として見つめている 。
「僕 結構オラオラ系でやってるんですよ、今。 ヌナも絶対びっくりするはずです」
「噂には聞いてるよ(笑)」
「見せてあげましょうか？」
余裕たっぷりに微笑むグクは 、
確かに 私が出会った頃のグクとは 違う 。
薄暗い部屋に 色気のある照明 、
畳に 襖に 縁側 、24畳の部屋にぽつんと敷かれた 布団 。
そんなシチュエーションは変わっていないのに 。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3930人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
百合梛 - 初めまして、頁を捲るのが惜しい位に面白い作品です、他の作品とは違う読みやすさと魅せられる物が有ります、如月様の御挨拶の書き方もとても素敵で感動しております。第二幕これから魅させて頂きます。 (2019年7月23日 15時) (
レス) id: 620040a8de (このIDを非表示/違反報告)
ゆ わ こ(プロフ) - ただ好き。こういうお話が好き。 何回も読み直してしまう (2018年11月16日 18時) (レス) id: 41ddd5c2e8 (このIDを非表示/違反報告)
ЯeI(プロフ) - とても簡潔に感想を言いますと、やたら行間が多くて読みにくい、会話に(笑)という表記がよく出てくるのが小説的には…という感じでした。それ以外は真似したくなるような所ばかりで、ありきたりな設定の中に色々と詰め込まれてて面白かったです。外伝頑張ってください。 (2018年3月23日 22時) (レス) id: 916ce16a17 (このIDを非表示/違反報告)
sunshine。。。(プロフ) - 面白い。 (2018年3月4日 10時) (レス) id: a43e5c801b (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - 途中途中がエロすぎますよwあ、いい意味でですよ！？しかもみんなの特徴をすごい掴んでいてめっちゃ好きです！しかも所々がかっこいいです！何回も読み返したくなる病にかかりましたw第二幕楽しみにしてます！これからも頑張ってください！応援してます！！！ (2018年2月26日 15時) (レス) id: 0f8c4a85df (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：如月
x他1人 | 作成日時：2018年2月17日 15時
