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「……ごめん」
ナムは私から 封筒を受け取った 。
店長からバレないように 、上手く隠してくれればいいのだけれど。
これでいい 。
早くここを辞めてほしいっていうのは 、本心なんだから 。
だって 、もしも ここで働いてるなんてのがバレたら 、即退学だ 。
今までのナムの努力が 水の泡になってしまう 。
「これ、絶対返すから。本当に」
「いいよ。ナムがこの狭い窮屈(きゅうくつ)な籠(かご)から出たら、会うことなんて無くなるんだもん」
「……いや、返す」
そんな悲しいこと言うな 、とナムは私を切なげに見つめている 。
でも所詮 、客 と 売り子 の関係であることは変わらないのだから 。
これまでも 、これからも 、
永久的に 。
「じゃあ、行くね」
「なんか……色々ごめん」
「御客様を最後まで笑顔で送り出すのが鉄則でしょ?(笑)」
「笑えない。全然 …」
身体を 売っている身 なのだから 、
そんな男のプライドなんか 捨ててしまえばいいのに 、といつも私は思っている 。
でも 、それがナムのいいところでもあるんだ 。
紳士 。
ナムは 裸のまま 立ち上がる 。
身体 以上に 、気心の知れた 仲だから 。
私も特に気にすることなく 、部屋の玄関まで歩く 。
「ナム」
「うん…?」
「辞めるときはちゃんと言って(笑)」
「……言うよ。俺の最後の御客様はAだって決めてるから」
「その時はもうちょっとだけ、今日より優しくしてね。(笑)」
「…するよ(笑)」
笑顔が戻った 。
私はナムの笑顔が大好き 。
いや 、
ここにいる青年たちが 垣間見せる 、
素顔の 笑顔 。
年頃の 、普通の男の子の笑顔 。
それが好き 。
ナムにもう一度 抱き締めてもらう 。
「ありがとな」
「……またね?」
「辞めてほしいのに “またね?” って ……(笑)」
「ナムに会いたい気持ちは変わらないよ」
ナムの前髪を撫でると 、くすぐったそうに目を細める 。
ナムは私を 、どう感じているのだろう 。
上手く言葉に出来ないけど 、
とても 暖かい気分だ 。
ナムが私に顔を近付けてきた 。
目を閉じる 。
唇に触れた暖かさは 、
紛れもない 愛情の しるしだと思う 。
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百合梛 - 初めまして、頁を捲るのが惜しい位に面白い作品です、他の作品とは違う読みやすさと魅せられる物が有ります、如月様の御挨拶の書き方もとても素敵で感動しております。第二幕これから魅させて頂きます。 (2019年7月23日 15時) (レス) id: 620040a8de (このIDを非表示/違反報告)
ゆ わ こ(プロフ) - ただ好き。こういうお話が好き。 何回も読み直してしまう (2018年11月16日 18時) (レス) id: 41ddd5c2e8 (このIDを非表示/違反報告)
ЯeI(プロフ) - とても簡潔に感想を言いますと、やたら行間が多くて読みにくい、会話に(笑)という表記がよく出てくるのが小説的には…という感じでした。それ以外は真似したくなるような所ばかりで、ありきたりな設定の中に色々と詰め込まれてて面白かったです。外伝頑張ってください。 (2018年3月23日 22時) (レス) id: 916ce16a17 (このIDを非表示/違反報告)
sunshine。。。(プロフ) - 面白い。 (2018年3月4日 10時) (レス) id: a43e5c801b (このIDを非表示/違反報告)
ユン(プロフ) - 途中途中がエロすぎますよwあ、いい意味でですよ!?しかもみんなの特徴をすごい掴んでいてめっちゃ好きです!しかも所々がかっこいいです!何回も読み返したくなる病にかかりましたw第二幕楽しみにしてます!これからも頑張ってください!応援してます!!! (2018年2月26日 15時) (レス) id: 0f8c4a85df (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:如月 x他1人 | 作成日時:2018年2月17日 15時