誘い ページ18
『Aのこと、女テニの部長が欲しがってるんだ。六角から離れるのは確かに辛かったけどさ、ルドルフもいいところだよ。』
淳は少し申し訳なさそうに笑う。
彼のことだ、きっと私のことを考えて一度断りを入れてくれたのだろうが、圧しきられてしまったんだろう。
『…Aが、よければだけどさ。
亮や佐伯との件もあるみたいだし、こんなときに言うのはずるいかもしれないけど。僕は、こっちに来てほしい。』
それは、きっと彼の本心だった。
考えといて、一言言うと淳は電話を切った。
「ルドルフ、か…。」
亮に、みんなに相談しなきゃな。サエにも。
不思議と勧誘に対して悪い気はしなかったし、現段階では少し、少しだけ「ルドルフに行ってもいいかな。」なんて考えている自分がいた。
結局、私は弱虫なんだ。
自分が苦しくないように、逃げてるだけ。
*
「亮運転下手だな〜」
「お前が重いんだよッ！ていうかサエと一緒のスピード出せると思うなよ！？」
帰り道、久々の亮の運転。
サエと比べると運転は下手くそだし、フラフラしてるけど。
文句を言いながらも、私に降りろとは言わない。そういうとこ、優しいなぁ。
「そういえばね、淳から電話きたんだけどさ。」
「ハァ？あいつ、俺には電話しないのに？」
「来てないの？亮しつこいからじゃない？」
「うっせー！…で、何言ってたんだよ。」
「…ルドルフにね、来ないかって。」
沈黙。そのまま数分、亮はペダルを漕ぐ。
いつになく無表情で、まずいことを言ってしまったのかと不安になる。
こういうときの亮は、大抵怒ってる。14年一緒にいて、わかりにくい彼らの表情はたくさん見てきた。
気付くと、私の家についていた。
家が狭い道を挟んで隣なので、亮はいつも自分の家を過ぎた小道に降ろしてくれる。
自転車から降りる。亮は何も言わない。
「じゃあね。」
「おう。」
一歩。
「あのさ」
「ルドルフ、行ってもいいと思う。Aが行きたいなら、行った方がいい。」
立ち止まる。
「…信じてるしさ、Aが、テニスを心から好きなら行ってこいよ。俺はここで待ってるからさ。」
亮は眉を下げて笑う。
ものすごく考えてくれたし、複雑だったと思う。
それでも、恋人や弟の気持ちを尊重してくれる。やっぱり、亮は優しい。
「…ありがとう。」
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柚(プロフ) - コマチさん» お久しぶりです！そして大変お待たせしました(> <)ありがとうございます！2人とも不器用だから、そううまく進めるかはわかりませんが、また気長にお付き合い頂けたら嬉しいです！ (2018年7月13日 1時) (
レス) id: 837c306f08 (このIDを非表示/違反報告)
コマチ(プロフ) - お久しぶりです！淳君やばいですね！！この展開待ってましたってキャーキャー言いながら読ませてもらいました！！ (2018年7月8日 1時) (レス) id: f93cb9c376 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - 遥真さん» こんばんは、コメントありがとうございます！久しぶりに覗きに来たら嬉しいコメントを頂いていて有難いです^^*これからまたボチボチ更新していきたいと思いますので、応援よろしくお願いします！ (2018年7月6日 21時) (レス) id: 39566cff20 (このIDを非表示/違反報告)
遥真(プロフ) - 更新止まっちゃってる感じでさみしいです(´；ω；｀)最近見たんですが木更津兄弟大好きなので復帰してくれたら嬉しいです！いつでも待ってます！！ (2018年5月13日 12時) (レス) id: 1343a1ad07 (このIDを非表示/違反報告)
柚?(プロフ) - コマチさん» ありがとうございます〜♪ヽ(´▽｀)/ルドD2大好きなので書いててとっても楽しかったです♪はい！ぜひ楽しみにしててくださいな(^ー^) (2017年2月15日 20時) (レス) id: 1d4a68c889 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚 | 作成日時：2016年12月14日 3時
