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この部屋は奥だ。
ということは、逃げ道はほぼない状態で複数人の敵が迫ってきている。ついでに守らねばならない人物もいる。不利なのは明らかだった。





「かるてっとさん!」

か「大丈夫だ…」

『まだ誰かネズミがいたのか』





コツコツと足音と共に現れたのは細身の男性だった。
丁寧に撫でつけられた髪に、品を感じるスリーピーススーツ。周りにいる部下の銃口は私とかるてっとさんに向いていた。





『その子は大事な取引道具なんだ。持って帰らないでくれるかい?』

「この子には帰るべき家があるので、それは難しいですね」

『そうか、困ったな』





だいたいこんなやつの言う"困ったな"に本当に困っていたことはほとんどない。ニヤつくそいつに男の子を危険な目に遭わせまいと、銃を置いたところを見せた。蹲るかるてっとさんと目が合う。その口角は楽しそうに上がっていた。





「ほら」

『ふむ。口の割に素直な子だな』

か「動くな」





刹那、かるてっとさんは銃口を向けていた部下の腕を脇に挟むとそのまま銃を奪い取り、もう1人の部下に向けた。
全ての銃口がドミノのようにスーツの男の元へ向いている。





み「Aちゃん、聞こえる?聞こえたら左耳のインカム触って」





インカムから入る優しく良い声。
恐らくスコープでこちらを覗いているのだろう。私はインカムにそっと触れた。





み「もうすぐしるこさん達がそっちに到着するから、戦闘は皆に任せて。Aちゃんははこたろーさんの指示に従って逃げて」

は「裏口のハッキングは済ませてあります」

み「俺がそのスーツ男は近付けないようにする」





下の階で爆発音が聞こえる。じらいちゃんだ。
皆が音のする方へ顔を向けた瞬間、私はナイフで一気に縄を切り、銃を拾い上げると男の子を抱き上げた。





『待て!』





男が進もうと思った矢先、足元に銃弾が届く。ミントスさんだ。奥ではかるてっとさんが部下を気絶させにかかっていた。





い「Aちゃん聞こえる?その横の壁今動かすからそこから逃げて」

「ありがとういちはちさん」







爆発音と立ち上る土煙。人が1人通れるくらいの穴が空く。
男の子が私の服を掴む手がギュッと強くなった。
大丈夫、と背中をとんとんしながら私ははこたろーさんの指示通りに裏口まで走った。

…→←誘拐事件



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きのこ丸(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます! (2022年8月7日 5時) (レス) @page12 id: 8169aa2d03 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです!頑張ってください!! (2022年8月3日 19時) (レス) @page2 id: 61fd28e57c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きのこ丸 | 作成日時:2022年8月3日 4時

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