… ページ4
数日後。
依頼を貰った次の日から、彼女から連絡が入る度に一緒に家まで帰った。生活面では付きまとわれることはほぼなくなったものの、おかしな郵便物は止まらず来ていたので常に油断が許されない状況だった。
ちょうど今日も一緒に帰る人がいないと連絡がきていたため、カフェに向かっていた。待ち時間は調べ物でもして待とう。
｢こんにちは｣
『こんにちは！今日はちょっとお早めなんですね』
｢はい。調べ物でもして待ちます。あ、アイスコーヒー1つお願いします｣
1時間後、彼女は｢もう上がりますので外で待っててもらえますか？｣と私の席までやってきた。パソコンを片付け、店の前で待っていたが、15分以上たっても彼女は来なかった。
明らかな違和感を感じた私はすぐさま仕事用のスマホで彼女に電話をかけた。その電話はすぐに切られたが、代わりにメッセージが飛んできた。
『裏口にストーカーがいて外に出ることができません』
｢了解です。表から一緒に逃げましょう｣
私はみんなに連絡を入れたあと、他の店のスタッフに軽く説明し、速やかに表から彼女を出してもらった。
これならきっと見えていないから上手く出し抜けるはずだ。
足早に家路に着いていたが、彼女の足が唐突に止まった。
目の前にはカフェに置いてきたはずのストーカーがいたのだ。
『ねぇ…詩織ちゃん…その横にいるのはお友達？』
『…っ』
信じられないと言わんばかりに揺れる瞳、彼女の足が1歩、2歩と後ずさる。私は彼女を背後に隠し、男と向き合った。
｢どちら様ですか｣
『僕？詩織ちゃんの彼氏だよ…最近一緒に帰ってくれないから寂しかったんだ…』
｢…お知り合いですか？｣
『いえ。前お付き合いして欲しいと言われましたがお断りしました』
『そんなはずない！だって詩織ちゃんは大学内で僕に優しくしてくれたじゃないか』
ストーカーには大きくわけて2つパターンが存在する。
元々相手のことを知っており、別れを告げられたなどで関係を続けられなくなり、そのような事実に耐えられず付きまといなどをはじめてしまうパターン。もうひとつは、信頼や尊敬、拒絶など思い込みが発端となり始まるパターンだ。
今回はおそらく後者であろう。
男性は夢見心地な声でこちらに1歩ずつ歩みよってきた。
『僕男の子と帰ってるところも見たんだから。浮気なの？今日は一緒に帰ろうね』
『近づかないでください…！』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 83人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きのこ丸(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます！ (2022年8月7日 5時) (
レス) @page12 id: 8169aa2d03 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです！頑張ってください！！ (2022年8月3日 19時) (レス) @page2 id: 61fd28e57c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きのこ丸 | 作成日時：2022年8月3日 4時
