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しるこside
みんべんさんにおんぶされたその子の腕は力なくだらりと垂れ下がり、もう片方の手もきっと傷口を抑えていたのだろう、真っ赤っかになっていた。
し「もしもし、先生?今から1人お願いしたいんだけど」
リ「わかった。症状は?」
し「右腕からずっと出血してる。あとごめん、この子先生も知らない子かもしれない」
リ「はぁ?しるこさんの知り合いとか?」
し「俺も知らない。でもお願い、見てあげて」
リ「仕方ねぇな、今回だけだぞ」
先生の病院に着いた後、俺はこの子が起きるまでここにいたいとみんべんさんに持ちかけた。みんべんさんは直ぐに家に残っているメンバーに連絡してくれた。こういう時みんべんさんの優しさには本当に助けられる。
軽い銃創だと聞いてとにかく安心した。怪我に変わりはないんだけど、急所だったら死んでいたのかもしれないから。俺も疲れてしまって、そのまま仮眠室で眠ってしまった。太陽が眩しくて目覚めたら、横の部屋から話し声が聞こえたので直ぐに飛んで行った。
その子は顔色こそ優れないものの、自分で起き上がってきちんとご飯を食べていた。くるるると腹の虫は鳴いているし、先生はこの子の分のご飯しか用意してないみたいだった。1つくれ、と強請ると案外すっと箸を渡してくれた。
その子の名前はAといった。
どこにでもいるような可憐な姿は、気になることを質問していくと少しずつ小さく、暗く曇って行くようだった。
Aがどんな背景でこの世界に足を突っ込んだとしても、知られたくないことがあるのは人間誰だってそうだ。
俺は自分から聞いておいてだったが、その話を途中で折ってしまった。
「そう言えば私のスマホって」
リ「あぁ。充電繋いであるけど」
「すみません、今すぐに貰えませんか?」
焦った様子の彼女に、リモーネ先生は直ぐにスマホを持ってきた。齧り付くように確認した後、息を吐く間もなくベットに倒れ込んだ。
し「どうしたの」
「私探偵事務所でバイトしてたんですけど、連絡取れなくて、機密情報持ち出したと思われて今クビの連絡が来ました」
し「探偵事務所で働いてたの!俺達もなんだよ」
「え?」
俺はカバンの中から探偵事務所の名刺をAに手渡した。
彼女はまじまじとそれを見つめると、交互に俺達の顔を見た。
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きのこ丸(プロフ) - 名無しさん» コメントありがとうございます! (2022年8月7日 5時) (レス) @page12 id: 8169aa2d03 (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです!頑張ってください!! (2022年8月3日 19時) (レス) @page2 id: 61fd28e57c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きのこ丸 | 作成日時:2022年8月3日 4時