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浅葱色の羽織 ページ2
その日は、雨だったような気がする。
僕の体を容赦なく叩き付ける滴は、体温と視界を奪っていく。
水に濡れた浅葱色の羽織は、血と傷でもうぼろぼろだ。もう取り繕えないかもしれない。
腰の刀を落とさないよう片手で押さえてひたすら走る。
もし耳を澄ませば、ぱたぱたという音が足下から聞こえてきただろう。
けれど、僕にそこまでの余裕はない。
ひたすらに、行く当てもなく走って、走って、走った。
今までの苦しみを、怒りを、屈辱を忘れるがために走った。
他の皆が願ったことを、叶えるために走った。
急がないと、また捕まる。
それだけは、嫌だ！
傷が痛み、体の感覚が狂って来た頃、それは見えた。
視界が眩んでよく見えないけれど、建物がある。きっと本丸だろう。
そこに、行けば。
もう、辛い思いは、しなく、て、すむ、はず、な、のに。
いたい、痛い、くるしい。
ああ、これはもうま、に、あわな、い。また、だめ、だっ、たのか、な…。
最期に、目の前にもう見えた扉を掴むことが出来なかったことだけ、それだけは分かった。
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さかな式(プロフ) - 九十九さん» 嬉しいです、ありがとうございます！拙い文章ですが、宜しくお願いします (2018年1月16日 20時) (
レス) id: 5d86fbdd38 (このIDを非表示/違反報告)
九十九(プロフ) - 面白かったです！頑張ってください！楽しみにしてますよ。 (2018年1月15日 21時) (レス) id: 6ccd555bc2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さかな式 | 作成日時：2018年1月14日 15時
