天才医師の難病【トラファルガー・ロー】 (ページ12)

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11話ページ12

A「言うな。昔の事だ、忘れろ」

イル「忘れるって、難しいっすね」

　体に残る傷跡
　嫌でも思い出せる恐怖

　死と隣り合わせの毎日
　そんな事、思い出したくもない

A「……今は好きか?」

イル「はい?」

A「今は好きかと聞いている」

イル「そりゃ大好きっすよ!! 家庭もって、幸せで、平和で…」

A「なら、それでいいじゃないか。今を楽しめ、イル」

イル「はい。あ、そうだ」

A「?」

イル「ずっと聞きそびれてたんですけど、俺の名前って何か意味があるんすか?」

A「ああ。あるね」

イル「全員?」

A「全員」

イル「じゃ、教えてほしいっす! 俺の名前の意味! あなたがくれた、最初で最後の名前!!」

　この病院に居る、医者の名前は俺が考えて付けた
　当時の有り余る知識を使って

A「………。「イル」はアッカド語で「神」という意味だ。「ウォール」は「壁」。愛する者を守る壁の神とあれ。ってところだ」

イル「おおおーーーー!!!!!!」

「先生!! 急患です!!!」

「「!!」」

～☆～

「40歳、男性。痛みを訴えて突如倒れたそうです」

A「分かりますかー? 病院ですよー」

イル「オペ室開けて、すぐに準備を!」

「はい!!」

A「イル…」

イル「はい。この患者さん前から何度も通ってました。手術を進めてたんですが…断り続けてて…」

A「カテーテル入れるぞ、準備しろ」

イル「はい!」

　オペ室へ入り、掛け声で手術台に患者を乗せる

「服、切りますよー」

A「よし。１、２、３、４、５…はい、落ちた。管理は出来るだろ、その間にやっとけ」

「「はい!!」」