第30話 ページ30
「麦わら屋の所へ行くか？」
治療を終え、そう声をかけてくれた。海賊には似つかわしくない、優しい声で。
二つ返事で行くと言えば、松葉杖の準備をしてくれる。
「ありがとう」
「…こっちだ。ついてこい」
「ん」
部屋を出て、少し狭い船内通路をついていく。身長もあり歩幅も大きいだろうに、こちらに合わせてくれているのだろう。ゆっくり歩けた。
「そこ、段差だ」
「あ、うん」
優しい。
胸の辺りが少し苦しくなる。
ああ、この感情…。知っている。
「………ここだ。今 椅子を持って来させる」
「ありがとう」
立ち止まった部屋の扉を開け、閉じないよう抑えてくれる。遠慮なく中へ入れば、規則正しい電子音が鳴り響いており、弟が生きていることを教えてくれた。
幼い頃から体が丈夫で、風邪一つひかなかった子が、沢山のチューブに繋がれ酸素マスクをしている。心が痛む。
「水龍屋。椅子だ」
「！ あ、悪いね…」
「……監視はつけさせてもらうぞ。気が済んだら、そこの伝声管で伝えろ。入り口の部下につながる」
「分かった」
返事を聞くと、彼は部屋を出た。
用意してくれた椅子に腰掛け、弟の頰を撫でる。
「ルフィ、姉さんが来たよ」
一声かけてみるが、反応はない。
身体的にも、精神的にも傷ついた状態。深く、深く、眠っているのだろう。
エースの死は、私自身もかなりのショックだった。時折、様子を見に行っていた弟と盃を交わした義兄弟。そうなのであればと、ルフィと同じように弟として可愛がっていた。
「(姉よりも、長く一緒だったもんね…)」
実際、一緒に暮らして過ごし時間は知れている。エースやサボとの時間のほうが明らかに長い。比べてはいけないだろうが、やはり比べてしまう。
「(ルフィ、私の可愛い弟)」
＊
優しい眼差しで麦わら屋を撫でる水龍屋。
心の底からヤツを可愛がっているのが伺えた。
「(まるで母親だな)」
扉の隙間から覗き見えた彼女の姿は、姉というより母に近いように思えた。祖父と姉が海兵であり、父は革命家。とんでもない家族だと痛感する。
「ルフィ、姉さんが来たよ」
優しい声色だった。
「(なんだ……)」
胸がざわつき、無意識に胸元の服を掴んでしまう。なぜか彼女から目が離せなくなった。
この感情を知らないわけではない。実際に抱いたことがないわけではない。それと似ている。
「(冗談じゃねェ。会ったばかりだぞ…！)」
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こめっと(プロフ) - すみません、仕事忙しくて全然更新できてません。落ち着いたらまたちまちまやります… (2023年3月24日 22時) (
レス) id: 10f010dabd (このIDを非表示/違反報告)
こめっと(プロフ) - ルカさん» こんばんは。パスワードとは、こちらのリメイク前の作品のものになりますか？ (2022年11月30日 22時) (レス) id: 10f010dabd (このIDを非表示/違反報告)
ルカ(プロフ) - R-18のパスワードがわかりません，どうしたらいいですか? (2022年11月30日 6時) (レス) @page23 id: a671b722f5 (このIDを非表示/違反報告)
こめっと(プロフ) - やこさん» こんばんは！♡とか濁点とかいっぱい使っちゃっていいですか？？？？(息荒げ (2022年11月27日 22時) (レス) id: 10f010dabd (このIDを非表示/違反報告)
やこ(プロフ) - 好きです。こんばんは！ｴｯｯｯｯｯｯｯｯﾛｲの待ってます((( (2022年11月27日 0時) (レス) @page23 id: b158067adc (このIDを非表示/違反報告)
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