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にしても御幸さんかっこよかったなぁ…
と、雑誌を開いてみる。
ずっと持っているのって女々しいな、と思いながらその場から立ち上がる。
「あれ、これお前じゃん」
と低い声がした。
はっとして顔を上げるとさっきまで試合をしていた人たちがいた。
「ヒャハッ、結構読み込んでんな、これ」
すこし笑っていたが悪気は全くないようだ。
それを私に返してくれてじゃーな、とヒラヒラして帰っていった。
雑誌をカバンの中に押し込み、その人のことを追いかけた。
「東条くん。これ、帽子ありがとう。」
驚いた表情を見せた東条くんは、首を傾げながら、いえいえどういたしまして、と手渡した帽子を受取った。
「あ、高村さん帰り方大丈夫?
球場は出るまでほんと人多くて分かりにくいから大丈夫かなって思ったんだけど…なにせ来るときは俺たちと来たから周りよく覚えてないかもだしさ。」
わたしが困惑した顔でもしていたのだろうか?
東条くんは今いる場所から出方、駅までの道すべてを細かく教えてくれた。
「じゃあね。気を付けて帰ってね。また」
東条くんとわかれ、教えてもらった道をたどっていた。
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作者名:ゆめみるきのこ | 作成日時:2023年8月19日 14時