とおくてちかい。 (ページ48)

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「高村さん!」

わたしをこんな風に呼ぶのは東条くんしかいない。
というかこの格好のわたしをよく分かったな。

「なんだー。信二の言っていた通りだ。
　かっこいいね。」
「それは喜んでいいの?」
「なんでさ。こんなに褒めてるんだから。」

東条くんは笑顔で話す。
金丸みたいな馬鹿にしたような笑顔ではないから、本当っぽく聞こえるんだから不思議だ。

「あ、そうだ。オレも写真お願いしてもいい?」

東条くんと写真を撮っている間には、聞いたことのあるような声がした。
沢村と降谷が文化祭でまでも喧嘩しているようだ。

はあ…とため息をついて、もう一度東条くんと向き合った。

東条くんが自分のクラスへ戻ったあと、控室にもどりわずかばかりの休憩を取る。

時計をちらっとみてみると、まだ終わりまで時間があることに気が付く。
人気の引かない教室周りをみて、嫌気が差してくる。

気を引き締め直して、もう一度表に出た。

作り笑いにも疲れてきた頃。また聞いたことのあるような声。
振り返ると笑顔の倉持先輩と御幸さん。と拗ねている沢村がいた。