とおくてちかい。 (ページ41)

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最後の競技のため、気持ちを高めながら木陰で涼んでいると、招集をかけられた。

見たことのある人がいるな、と思ったらその人はいつかみたピンクの先輩。

「あれ、君も走るんだね。」

と一言話した。

運動も走ることも苦手ではない。
田舎を駆け回って遊んでいたぐらいだ。女子相手なら走り負けない自信があった。

陸上部の中にただの帰宅部が放り込まれているのだから、認められてはいるのだろう。

よーし走るぞー。とまだまだ消えない適当な気持ちのままバトンを受け取り、必死なフリして走り抜けた。

結局体育祭での勝利は1年生はなかったけど、最後のリレー、走者では一番を取れて、ほっと胸を撫で下ろした。

疲れたななんて思いながら帰宅の途へつくと、これから部活をやるんだという春市と会った。

「野球部って、体育祭とか関係ないんだね。おつかれ。」
「Aちゃんは体育祭も楽しめた?」

競技なんてほとんど見ていないけど、ふつうに授業を受ける時間よりかは短く感じたし、それなりに楽しかったのかもしれない。

「うん、まあね。」

春市にじゃあね、おつかれ、と声をかけると鞄を担ぎ直し帰路を辿った。