とおくてちかい。 (ページ38)

今日:10 hit、昨日:36 hit、合計:1,647 hit

#38 ページ38

。
体育祭のことがほとんど決まったとき、担任が気怠げに「次は文化祭のことを決めるぞ～」と話した。

先生たちは大概こういうのがめんどくさい生き物なのだと、中学のときに知った。

「高村さんは何がいいとかある?」

いかにも気の弱そうな文化祭委員の男子が言ってきた。
書クラス中がこっちを見ている。

帰りたい気持ちが先行して、ほとんど話を聞いていなかったことがバレてしまったのだろうか…。

「んー…なんでも…。
　まあ楽しめる文化祭であれば、それでいいんじゃないかな」

当たり障りのないことを言ってみた。
否定も肯定もしなければ、提案もしない。

このクラスは半年ちょっとの付き合いだけど、出方をまだうかがっている。
特別仲のいい人たちがいないこともあるし、5人程度だが一部の女子が妙に嫌っているから。

そしたら誰かがすくっと立ち上がって

「じゃあメイドカフェだね!
　男子も女子もやるの。それってすごく青春っぽくない?やるほうもくるほうも楽しいと思うんだ!
　執事もいたほうが華があるから、Aちゃん執事やってくれない?」

野球部は試合が近いこともあり、文化祭はほとんど何もやらない。
係も割り振られていないし、準備もしない。

なんだそれ、羨ましいな。
と金丸のことを少し睨んでみる。