とおくてちかい。 (ページ29)

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いつものように朝起きてみると、身体がだるいことに気が付いた。
学校を休む連絡をいれるのが嫌だったこともあるけれど、別に動けないぐらいでもないからそのまま学校にいった。

大丈夫かと思ってそのまま来てみたはいいが、大丈夫じゃなくなってきたかもしれない。
一人暮らしで風邪を引くのはこんなにも心寂しいのか。

午前中の授業がとても長く感じた。
だるかったから、お弁当を作る元気がなかった。だけどおなかは空いたような気がする。
はぁ、とため息を漏らし、購買でパンでも買うか、と少しだるくて重い身体にむち打って購買へと足を急ぐ。

購買につくとみたことのある人。幻覚でも見えてんのかな。

「おい高村」

ひょえ?と驚いている暇もなかった。
手に持っていたはずの大事なパンがない。ちょっと奮発していいの買ったのに。
びっくりしていると手元にパンが戻ってきた。

「珍しいな、高村がパンとか」

そういったのは倉持先輩。

朝からだるくてお弁当作れなかった、とは言えない。
倉持先輩のことだ。ばかにしてくるに決まってる。

「今日はパンの気分だったんです。
　先輩たちはいつもパンですか?球児がなんとバランスの悪い。」

厭味ったらしくいった。つもり。
倉持先輩がなんか言っているようだったけれど、無視してパンを抱えて教室に戻った。