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あれから、というのはきっと告白をされた日から。
「…何も変わりはないです。
いつもと変わらない日々を送っています。」
以前にも増して金丸と一緒に過ごしている時間が長いから、一部の女子の圧力が増した。
「そっか。
…………お前…あー高村。もしまた練習とか試合とか見に来いよ。
東条から帽子もらったんだろ?」
マネージャーでもなんでもないし、野球部のファンでもない。
野球が好きだということでもない。
それなのに、帽子なんて被っていったら目立って仕方がない。
「………ほんとうはもう野球部のとこには来ないって決めていたんですよ…」
来てんじゃん
と嫌味たらしそうに御幸さんが言ったのは聞き逃さなかった。
「そうですよ。えぇえぇ来てますよ。…悪いですか!?やっぱり御幸さんはかっこよくて目が離せないんですよ!?これで断ち切れれば良かったのに…魅せられてしまうし魅入ってしまうから…」
必死に涙を堪えていたけど、言い訳を紡ぐように話していたら、頬を伝う感覚があった。
戸惑うような顔をのぞかせたのがわかった。
「練習、また来いよな。」
最初には御幸さんも暗い顔をしていたけれど、最後、別れ際にはいつも通りの笑顔に戻っていた。
泣いたわたしを慰めるかのように肩に手を置いた。
御幸さんが戻ってから我慢のできなくなった涙が流れていった。
それはまるで子どもが大声をあげて涙を流すように。
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作者名:ゆめみるきのこ | 作成日時:2023年8月19日 14時