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授業が終わってわたしは帰ろうと教室を出た。
部活組は終わるとすぐに出て行ってしまうので、帰宅部のわたしはゆったり出る。
ふと窓の外を見たら、マネージャーの人たちが練習の準備をしていた。
もう行かない、と決めたくせに、身体は勝手に野球部のグラウンドに向かっていた。
久々にみた野球部。
うわ、辛そう…
最初の頃はそう思ってたっけ。
いつからだろう。野球を見ても苦ではなくなったのは。
相変わらずなにも分からないけど、見ているのは全然苦じゃなくなった。
前までのわたしなら分かんないからもういいや、つまんないし、と番組を変えていた。
変えていたのに。
きっとこれは御幸さんに出逢ったからなんだな。
御幸さんと共に見る景色はこんなにも輝いているのか。
だから野球が全然苦じゃないんだ。
こそっと隠れて野球部の練習をみる。
そのときに休憩時間に入り、校舎内へ入ってきそうな姿があった。
誰にも見つからないように帰らなければ。誰にも見つからないように誰にも声を掛けられないようにその場からそそくさと逃げた。
つもりだった。
帰ろうとしていたのに目の前にはいつ来たのか笑顔の御幸さん。
「お、帰ろうとしてた?わりぃな。
お前、あれからどうした?」
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作者名:ゆめみるきのこ | 作成日時:2023年8月19日 14時