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その場から立ち上がり教室に戻ろうとしたとき、なんとなくで口走った言葉をぶり返された。
「そういえば、高村さんは俺に恋してればってどういう?」
「んーそうだなー
帽子のこともそうだけど、道の心配とかいろいろしてくれて、まあ尽くしてくれてさ。東条くんと恋してたらきっとその子は幸せだろうなって思ったんだよね。」
単純な理由でしょ?とちょっと首をかしげて言ってみる。
じゃ、またねー、と少し大げさに手を振ってそこをあとにした。
教室に戻るとき金丸が
「お前まるで別な人が好きな素振りだったな。
好きになっちゃいけないような人なのか?」
「好きにも…それはちょっと違うかな。
けど、好きな人のことで泣いたり悩んだりすることが少なくなるかなって。」
頭には御幸さんが浮かんでいた。
たぶん、御幸さん以外の誰かを好きだったり、憧れを抱いていたりしていれば、こんなに不安になってしまうことはなかっただろうし、こんなに涙を流すことなかっただろう。
人を好きになることは今までなかったから、今回が初恋なんだろう。
憧れだから、と自分の気持ちに区切っていたけれど、できることならば高村Aとしてもっとあの人に近付きたい。
この人の近くにいたいから、って理由だったのにいつの間にかこの人と一緒にいたいと思い始めていた自分がいた。
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作者名:ゆめみるきのこ | 作成日時:2023年8月19日 14時