# 24 ページ24
。
御幸さんと共に屋上へ向かうと、わたしの名前を呼ぶ人がいた。
その子は150センチあるかどうかくらいで、とっても小柄でかわいい子だった。
「あのね、Aちゃん。急にごめんね。
なんでなんだろう。ちゃんと男の人が好きなのに、Aちゃんのことも好きなの。」
今にも泣きそうな声でそんなことを言うから。
きっぱり言ってやるつもりだったのにどうも言葉が出てこない。
あぁまただ。
またこんなところで、わたしはまた立ち止まっている。
「勇気出して話してくれてありがとう。
わたしのことも好きだ、って言ってくれて嬉しかった。
だけど…ごめんなさい。わたしは、好きな人がいるの。その人の背中を追ってここまで来たの。ごめんなさい。」
涙は出なかった。
ただ深く深く頭を下げるしかできなかった。
彼女は泣きながらも、「大丈夫っ、わたしが悪いんだもん!全然大丈夫!」と言うだけだった。
そして去り際、彼女はわたしに誰が好きなのかだけでも教えてほしい、というので笑顔を浮かべて御幸一也さんだよ、と答えた。
あんなにかわいい子なんだもん。もっと別な誰かから、大切にされる日が遠くないんだろうなって、そう思った。
お互いに自然と笑顔に戻りふたりで教室に戻った。
6人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ゆめみるきのこ | 作成日時:2023年8月19日 14時