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翌日。
試合を見に行った。
今回もまた金丸と東条くんがいろいろと解説しながら教えてくれた。(いつも半分以上聞いてないため全く分からないままではある。)
「…今回は泣かないんだな」
「そんな毎回泣いててたまるか」
金丸にそう聞かれ、むすっと唇を尖らせながら答える。
人が相変わらず多くて、人酔いをしてしまいそうになり、また東条くんたちとはぐれてしまいそうになった。さっと腕を掴んでくれたのは東条くん。
こんな気遣いも出来るのか。って感動している場合じゃなくて。
御幸さん含め、野球部の面々をいざ目の前にすると、緊張がピークになってその場から動けなくなりそうだった。
見るとわたしだけじゃなくて何人か学校の子がいるのが見えた。その子たちも御幸さん目的なのだろうか。
そう思うとやっぱり長い髪のほうが『女の子』らしいな、と自分の髪を触りながら感じる。
兄たちばかりで女子が少ない環境で、男子と話すことに別に緊張しているわけでもなんでもないのに、自分にちょっと自信がなくて自分にちょっと勇気が足りなくて、そんなんで諦めてきたものばっかりだ。
今回もまた。然り。
たった一言伝えればいいだけなのに。あの子たちの輪に入って、一緒に伝えに行くだけで構わないのに。
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作者名:ゆめみるきのこ | 作成日時:2023年8月19日 14時