とおくてちかい。 (ページ14)

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#14 ページ14

。
倉持先輩は急に立ち止まると

「憧れんはいいけどアイツすっげー性格わりぃぞ!」

ヒャハハと独特の笑い声を飛ばして倉持先輩はそういった。

「高村さんがそんな気持ちでここに来てたなんて知らなかったな。
　ほら、ここ私立でしょ?公立とかに比べたら格段に学費とか高いわけで。だけど、それなりに倍率高くて進学校でもある。一般だったから近いのかもとか思ってたけど……遠いの?」

東条くんはいろいろと話しながらカバンを渡してくれた。

そうだ。
わたしは片田舎出身で、一人暮らしをしている。
野球は強いから、そのために遠くから来る人も少なくない。だから野球部専用の寮がある。そう"野球"のため。

「わたし、何にもないのに憧れだけで自分の故郷を捨てたんだよなぁ…」

東条くんと春市と歩いていたのに足を止め天を仰いだ。

「たしかに不純な動機だったかもしれないけど、それでもここでちゃんと生活しているし、青道でたしかな地位築いている。僕はちゃんと知っているよ。」

ふいに春市に「Aちゃん」だなんて言われたからドキッとしてしまった。

「そうだよ。高村さんは別に変じゃないよ。」

午後の練習がこれからだから、という二人と別れ、そうか何もおかしくないんだ、と一人で勝手に納得して、というか納得させてまた歩き出した。