アナベルの紫陽花 (ページ8)

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喫茶店の窓から覗く太陽の光で目が覚める。
始発は動き始めるらしい。

「ふかざあさん…
　始発、うごきます…」

深澤さんが撫でてくれるその手の感覚が、抜けていってしまうのが嫌で、
起きなきゃいけないのに身体が言うことを聞いてくれない。

「Aちゃんおはよ。
　……帰ろっか。」

深澤さんはわたしの身体を起こすと、大きくひと伸び。

一日中コンタクトをいれたままだったから、相当目も疲れているんだろうな。

目だけでなく、ゆっくり休めていないだろうに。

「俺んちおいで。」

深澤さんに手を引かれ、その場をあとにする。
深澤さんに誘われるように、深澤さんから離れられない。

「始発の電車久々に乗ったわ。笑」

Aちゃん待ってなきゃだしね、

と呟いたその声は聞き逃さなかった。

そっか。
わたしが何だかんだと深澤さんに甘えてしまっているから

「わたしのせい、とか思った?
　それはないからね、断じて。」

まるでエスパー。
考えていることがすべてお見通しのようだった。

電車の中でも、最寄り駅に着いてからも、深澤さんが繋いだ手を離すことはなかった。