アナベルの紫陽花 (ページ25)

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「じゃあ今日はこれで。また明日お願いします、Aさん。」
「今日は楽しかった。
　また話聞いてください!」

目黒くんと駅前でわかれ、電車に乗る。

少し前から深澤さんと同棲し始めた。

終電を気にせずにいられることは大きかった。
月に数回は帰るけど、最終的には深澤さんの元へと戻ってくる。

深澤さんはまだ帰っていないと思い、玄関をあけようとすると、扉が開き、腕を引かれた。

「Aちゃん。おかえり。」

ずっと待ち望んでいたその声は、ひどく安心できる声。

「こうするのいつぐらいぶりだろう?
　一緒に暮らしているのに、長い間触れていなかったの。
　不思議だよね。」

深澤さんはわたしの身体を離すと、口付けを落とした。
いつの間にか深澤さんの舌は、唇の端から端までをなぞり、固く閉じられた中まで侵入してきた。

「……っ」

息を漏らすと、深澤さんは唇を離した。

「ほんと、かぁいい……。
　心配ばっかかけさせてごめん。こうやってAちゃんにずっと触れたかった。」

玄関先で、深澤さんはわたしをもう一度強く抱きしめた。