アナベルの紫陽花 (ページ20)

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見つめ合った2人の時間は、インターホンで現実へと引き戻された。

何か荷物が届いたらしい。

差出人はりんかからだった。

『A
　誕生日おめでとう。
　もっと女磨いて、深澤さんがもっとAに夢中になるように。』

りんかからそんな手紙が添えられていた。
何にも話していなかったけど、りんかには何となくわかっていたみたい。

手紙を見ながらニヤニヤしていたわたしの姿をみた深澤さん。

「何もらったの?」
「りんかも使ってるコスメとボディミスト。
　これつけたら深澤さんもっとわたしに夢中になってくれますか?」

りんかからもらったのはラメ入りのアイシャドウ。
ずっとマスクが手放せないから、グロスリップは塗らないことを知っている。

「そんなん付けなくたって、俺は前からAちゃんに夢中だよ。」

さっきとは違って、眼鏡をしているからなのか、眼鏡が鼻先にぶつかる。

唇を離し、そっと目をあけると、優しく微笑む深澤さんがいた。