アナベルの紫陽花 (ページ1)

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。▷20歳ページ1

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明日、ようやく20歳になる。
ようやくお酒を飲めるようになる。

法律で守ってもらえなくなる部分も増えるけど、20歳超えれば、出来ることだって増える。

「深水さん何か嬉しそうですね?」

朝エレベーターを待っていると、声をかけてくれたのは阿部さん。

「ふふふ。」
「笑いだけ返されるともっと気になるんですけど。笑」

仕事を終えたら、深澤さんと2人であのお店にいく。
20歳になる前日も一緒に過ごそうね、と言われたことがきっかけ。

こんなにも1日が長く感じるだなんて、想像していなかった。

過去に自分の誕生日がこんなに嬉しかったことなんてなかった。

去年、深澤さんが贈ってくれた小さな箱の中身は、控えめなネックレスだった。

金属アレルギーでも使えるようなチェーンの。

普段は付けないアクセサリー。今日は特別。
付けていることが見えないように、服の中にネックレスをいれる。

淡々と仕事はこなせるけど、どこか身が入らなかった。
それでも、あんなにも1日が長く感じたのに、いざ仕事に取り掛かると時間が足りない。

今日は残業をしないで帰る予定でいる。

でも、どうしても定時には上がれなさそうで、焦る気持ちが先行してしまう。