思い出のオンボロバイク《龍宮寺堅》

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時計を見れば17時。
18時に閉館する図書館は人も疎らになっていて、勉強する学生も数人。
私は、最早口癖ではないかと疑う龍宮寺君からの"勉強しろ"のメールに午後はノンストップで集中して勉強に勤しんだ。

グーっと伸びをすればポキっと鳴る首。
トントンと拳で叩きながら図書館を出れば、雨は止み、太陽が顔を出していた。
水溜りがキラキラと光っていて、思わずうわー！っと声をあげる……そんな可愛い女ではない私は眩しさに目を細めながらバス停へ向かった。

17時を過ぎたバスは人が多く、嫌だなぁ…と思いながらバス停で待つ事数分。
予想通り、満員御礼のバスがやってきてプシューっと音を立てて扉が開く。
前に並んでいた人達が次々とバスへ乗車して、いざ自分の番！と言う時に、微かに聞こえるエンジン音。

彼の物だと決まった訳じゃないのに、運転手さんにすいません行って下さいと謝って、バスを見送れば次に目の前に停まったのはドラゴンの柄の入った厳ついバイク。
運転手は先程のバスの運転手とは違い、ヘルメットは首に掛けてるだけだし金髪で辮髪で、こめかみにタトゥーが入っていた。



「初乗り一万円な」
『たっか！』
「帰んぞ」



ポスっと頭に被せてくれたのは白色のヘルメット。
今日で2回目のソレは前よりしっくりくる気がした。
荷物も傘もしっかり持って、龍宮寺君の腰に手を回せば、くすぐってーと言いながらバイクを発進させる。
いつものコンビニ前のバス停から約20分の図書館。
間にはたくさん信号もある。

信号が全部赤になれば良いとか思ってしまう自分は、相当重症である。



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