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「宇髄!今日は招待感謝する!」
「煉獄、お前、仮にも俺様は先輩だぜ?ちったぁ敬えよ」
すまん!と言いながら、自分より背の高い宇髄の肩を叩いた。
今日は大学の文化祭であった。
校内は各サークルの出し物で賑やかだ。
何か食うか?と宇髄に聞かれ、目に止まったのは”焼き芋”の文字。
「焼き芋だ!」
好物に目を輝かせる煉獄に、まだまだ幼いなと宇髄は思う。
焼き芋の出店まで向かう途中に宇髄を見つけたキツイ香りのする女子達に囲まれる。
宇髄に負けないくらいキラキラとした装飾品を身に付ける女子達は、煉獄を見て、誰ー?と声をかけた。
「俺の後輩でな、うちの大学の推薦受けるんだぜ」
そう言った宇髄の腕に絡んでいた女子が、可愛いーと言いながら煉獄の腕に絡んでくる。
「名前はー?」
語尾を伸ばす独特の話し方をする女子の、キツイ香りに頭がクラクラとする。
むげに腕を振り払う訳にいかず、固まったままそのままにしていれば宇髄が助け船を出してくれた。
「こいつァ、まだまだ子供なんだよ、あんま苛めてやるなよ」
ますます可愛いー!お姉さんと遊ぼー、など言われるが、宇髄はまたな、と言ってその場を後にする。
杏寿郎もそれに続き、失礼する!と女子達に伝え宇髄を追いかけた。
後ろから宇髄くーん!と声が聞こえるが、背中を向けたまま手をヒラヒラと振る宇髄。
「良かったのか!」
「別に構わねぇよ、それより…」
おっ居た居た、と言う宇髄の指差す方を見れば、見知った姿を見つける。
大勢の人が居るにも関わらず、その姿だけは一際輝いて見えた。
『あっ、うずいー!って、煉獄くん?!』
「よもや!ここでA先生と会えるとは!」
「俺様のファインプレーにド派手に感謝しろよ?」
と、宇髄は煉獄の横腹を肘でつついた。
俺様はサークルの方に顔出して来るわと行ってしまう宇髄。
『アイツ、呼んでおいて相変わらずね』
宇髄の事を、呼び捨てやアイツと呼ぶAに杏寿郎の心はざわつく。
せっかくだし楽しもうかと言われるが杏寿郎の耳には届かない。
『煉獄くん…?』
心配する瞳で杏寿郎の顔を覗き込む、A。
先程の女子達とは違い、柔軟剤の香り。
いつものスーツ姿とは違い、今日は初めて見るラフな姿。
唇もいつもより少し濃い色をしているように思う。
長い睫毛はクルンと上に上げられ、そんな瞳で上目遣いで見られ、自分の下心までも見抜かれてしまうのではないかと思った。
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きりまる(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます(T-T)めちゃくちゃ嬉しいです!他も読んで下さってるんですね!ありがとうございます(T-T)こちら、これからチロチロ短編でアップしていきますので、宜しくお願い致します♪ (2020年6月2日 7時) (レス) id: a5f16a2551 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 最高です!初めてこの作品が更新された時からずっと読んでました!!他の作品も楽しみに読ませていただいてます! (2020年6月1日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりまる | 作成日時:2020年5月23日 0時