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『あれ?煉獄くん?』
進路指導室から出て来た杏寿郎は声がした方を振り替える。
進路について考えさせられた後、Aの声を聞いて心が軽くなったのは言うまでもなかった。
「A先生!」
『進路悩んでるの?』
そう聞かれ言葉に詰まる、杏寿郎。
勉学に励んでいなかった訳ではないが、毎日の部活、そして父が師範を勤める道場での鍛練もあり、進路の事は漠然としか考えていなかった。
「父の道場を継ごうと思っていたのだが…」
『反対されちゃった?』
担任には成績も優秀なのだから大学に行くべきだと言われた。
『煉獄くん、学校の先生とか向いてるんじゃないかなぁ』
熱血!ってハチマキ巻いたりしてそうだよ、と笑うA。
「A先生はどこの大学を受けたのだろうか!」
『私?』
私はねーと言いながら、教育学部で有名な大学の説明をしてくれる。
『興味あるなら紹介しようか?』
「良いのか!」
大学の後輩で杏寿郎と馬が合いそうな人物が居るという。
話をしておくから部活が休みの時にでも訪ねてみると良いと、渡された連絡先には”宇髄天元”と男の名前と電話番号が記載されていた。
それを見て杏寿郎の心はチクリと痛む。
「むう!」
『どうしたの?』
心臓に手を当てる杏寿郎に問いかけるAに、彼は素直に心臓が痛いと伝える。
保健室に行くか?と杏寿郎の額に手を当てるA。
『熱はないみたいね…』
と、彼の顔を覗き込むA。
長い睫毛や目の下にある泣き黒子。
色の白く細い華奢な手に、杏寿郎の心は今度は激しく熱くなった。
「だ、大丈夫だ!部員を待たせているので部活に向かうとする!」
『仮にも受験生なんだから、無理しないでね』
「お心遣い、感謝する!」
では!と言ってAと別れ、部活へ向かう。
後ろから聞こえてくるAを呼ぶ、他の学生達の声にまで胸がざわついた。
「俺の心は一体どうしてしまったのだ…」
杏寿郎は、まだ恋を知らなかった。
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きりまる(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます(T-T)めちゃくちゃ嬉しいです!他も読んで下さってるんですね!ありがとうございます(T-T)こちら、これからチロチロ短編でアップしていきますので、宜しくお願い致します♪ (2020年6月2日 7時) (レス) id: a5f16a2551 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 最高です!初めてこの作品が更新された時からずっと読んでました!!他の作品も楽しみに読ませていただいてます! (2020年6月1日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりまる | 作成日時:2020年5月23日 0時