検索窓
今日:8 hit、昨日:3 hit、合計:26,688 hit

4! ページ5





『あれ?煉獄くん?』


進路指導室から出て来た杏寿郎は声がした方を振り替える。

進路について考えさせられた後、Aの声を聞いて心が軽くなったのは言うまでもなかった。


「A先生!」

『進路悩んでるの?』


そう聞かれ言葉に詰まる、杏寿郎。

勉学に励んでいなかった訳ではないが、毎日の部活、そして父が師範を勤める道場での鍛練もあり、進路の事は漠然としか考えていなかった。


「父の道場を継ごうと思っていたのだが…」

『反対されちゃった?』


担任には成績も優秀なのだから大学に行くべきだと言われた。


『煉獄くん、学校の先生とか向いてるんじゃないかなぁ』


熱血!ってハチマキ巻いたりしてそうだよ、と笑うA。


「A先生はどこの大学を受けたのだろうか!」

『私?』


私はねーと言いながら、教育学部で有名な大学の説明をしてくれる。


『興味あるなら紹介しようか?』

「良いのか!」


大学の後輩で杏寿郎と馬が合いそうな人物が居るという。

話をしておくから部活が休みの時にでも訪ねてみると良いと、渡された連絡先には”宇髄天元”と男の名前と電話番号が記載されていた。

それを見て杏寿郎の心はチクリと痛む。


「むう!」

『どうしたの?』


心臓に手を当てる杏寿郎に問いかけるAに、彼は素直に心臓が痛いと伝える。

保健室に行くか?と杏寿郎の額に手を当てるA。


『熱はないみたいね…』


と、彼の顔を覗き込むA。

長い睫毛や目の下にある泣き黒子。

色の白く細い華奢な手に、杏寿郎の心は今度は激しく熱くなった。


「だ、大丈夫だ!部員を待たせているので部活に向かうとする!」

『仮にも受験生なんだから、無理しないでね』

「お心遣い、感謝する!」


では!と言ってAと別れ、部活へ向かう。

後ろから聞こえてくるAを呼ぶ、他の学生達の声にまで胸がざわついた。


「俺の心は一体どうしてしまったのだ…」


杏寿郎は、まだ恋を知らなかった。




5!→←3!



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (72 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
92人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

きりまる(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます(T-T)めちゃくちゃ嬉しいです!他も読んで下さってるんですね!ありがとうございます(T-T)こちら、これからチロチロ短編でアップしていきますので、宜しくお願い致します♪ (2020年6月2日 7時) (レス) id: a5f16a2551 (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 最高です!初めてこの作品が更新された時からずっと読んでました!!他の作品も楽しみに読ませていただいてます! (2020年6月1日 22時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:きりまる | 作成日時:2020年5月23日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。