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ガチャリと鍵を開ける音がした。
家に近付く足音で彼女の帰宅を察知して目を覚ましていたけど、ベッドで寝たフリをする。
『ただいま、さとるくん』
そう言って僕の額にただいまのチュー。
良いね、コレ。癖になりそう。
「ニャァン(おかえり)」
『お腹空いた?ちょっと待ってね』
やっぱり噛み合わない会話が少し歯痒い。
カチャカチャと食器の音がした後に出てきたのは、鮪の高級缶詰め。
がっつきたい気持ちを抑えて、ゆっくり上品に食べる僕。
『ホント綺麗な子……今日ね、警察に迷い猫で届け出してきたからね、飼い主さんきっと見つかるよ』
「ニャーン(飼い主居ないけどね)」
『おかわり?ちょっとだけだよ』
Aが猫の扱いに慣れている事が気になった僕は、高専から戻って部屋を物色した。
過去に猫を飼っていただろう痕跡と、随分前に居なくなってしまった痕跡があった。
その猫と僕を重ねてるのかな。
Aは僕を撫でながら淋しそうな表情をする事があった。
いつもチューしてくれるお返し。
彼女の頬をチロッっと舐めてあげた。
『ざらざら……!猫の舌…!さとるくーん!』
この子、面白すぎない?
よっぽど気に入ったのか、もっと舐めて、なんて言ってくるから調子に乗っちゃうよね。
『飼い主さん、見つかって欲しいけど…見つかって欲しくない気持ち……』
Aに飼われてた猫は幸せだろうな。
こんなに愛してくれるの、ちょっと羨ましく思うよ。
『今日も一緒に寝ようね、お風呂してくる!』
「ニャー(はーい)」
今日はこっちで着替えないんだ、残念。
そんな気持ちでお風呂に向かうAを見送った。
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きりまる(プロフ) - YUIさん» コメントありがとうございます(*˘︶˘*).。.:*♡完結目指して頑張りますので宜しくお願い致します! (10月10日 21時) (レス) id: 65bdf03365 (このIDを非表示/違反報告)
YUI - 猫の五条さん、可愛いですね!更新楽しみにしてま✨✨ (10月8日 20時) (レス) @page1 id: 55f2ea0d21 (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - 名無し25328号さん» 新作お待たせ致しました(*˘︶˘*).。.:*♡完結目指して頑張りますので宜しくお願い致します♪ (10月6日 23時) (レス) id: 65bdf03365 (このIDを非表示/違反報告)
名無し25328号(プロフ) - 新作おめでとうございます!楽しみにしてました! (10月6日 22時) (レス) @page1 id: a335c2c808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりまる | 作成日時:2023年10月6日 19時