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しくじった。
最強の僕の大失態。
満月の日は任務をいれないのが決まりだったけれど、思いの外長引いてしまった任務。
それにより、満月になってしまった。
で、案の定、猫の姿になってしまう。
そして、最悪な事は重なるのがお決まりのようで、人間の時より少し弱くなった呪力のせいで呪霊から激しいボディーブローを喰らう事になった。
「ニャー……(クソ……)」
力が入らなかった。
真っ白な身体が赤く染まって、動けなくなった。
気に入っているって言っても、やっぱ早く解呪しないとな……って、今更な事を考えながら意識を失った。
『ーーー?』
「………」
『ーー大丈夫?』
「……ニャ………」
『良かった!生きてる!可哀想…真っ赤になってる……夜間の病院、どっか開いてたっけ……』
うずくまっていた僕を誰かの手が包んだ。
自分の服が汚れるのも顧みず、血みどろの僕を抱きかかえて、その子は何処かに電話していたようだった。
まだ夜なら、満月を見れば人間に戻れる。
でも、目を開ける気力さえもなくなっていた僕は、弱った僕を抱きしめる女の人に身を委ねるしか方法がなかった。
『とりあえず、家に帰ろうか、猫ちゃん』
チュッ、と汚れた僕の頬に躊躇う事なくキスを落とした女の子。
その腕の中は暖かくて安心した。
どれくらい眠っていただろうか、血で赤く染まっていた身体は綺麗になっていて、僕の毛並みと同じくらいフカフカの毛布の上で目が覚めた。
『あっ、良かった〜、目、覚めたんだね』
僕の隣に座って喉元を優しく撫でる。
ゴロゴロと喉が鳴ってしまうのは、猫だから仕方ない。
『綺麗な目…』
そう言った女の子の瞳に僕が映り込んだ。
猫になって気を失った時にアイマスクも失くしたのか、六眼丸出しの僕。
「ニャウン…ニャー…(マジでヤバイね)」
『あっ、お腹空いた?ご飯にしようか』
僕、高級缶詰めじゃないと食べないよ?
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きりまる(プロフ) - YUIさん» コメントありがとうございます(*˘︶˘*).。.:*♡完結目指して頑張りますので宜しくお願い致します! (10月10日 21時) (レス) id: 65bdf03365 (このIDを非表示/違反報告)
YUI - 猫の五条さん、可愛いですね!更新楽しみにしてま✨✨ (10月8日 20時) (レス) @page1 id: 55f2ea0d21 (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - 名無し25328号さん» 新作お待たせ致しました(*˘︶˘*).。.:*♡完結目指して頑張りますので宜しくお願い致します♪ (10月6日 23時) (レス) id: 65bdf03365 (このIDを非表示/違反報告)
名無し25328号(プロフ) - 新作おめでとうございます!楽しみにしてました! (10月6日 22時) (レス) @page1 id: a335c2c808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりまる | 作成日時:2023年10月6日 19時