猫の初恋《五条悟》

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『おはよう、さとるくん』



キッチンからの良い香りで少し前に目が覚めていた。
でも、Aが起こしてくれるまで寝たフリをするのが最近の僕の決まり。

Aは必ず僕の頭を撫でた後に、キスをくれる。
僕が実は人間だったと分かってからは抵抗があったみたいだけど、その抵抗も少し緩んできたのか、最近はキスもくれるし、吸ってもくれる。

ただ、肉球を匂って良い匂いだと笑うAはちょっと変態っぽいけど。



「おはよう、A」

『ギャッ！さ、さとる……さん……！』



Aはまだ人間の僕にはイマイチ慣れていない。
にしても、ギャッ！は流石に落ち込むけど。



「いつになったら慣れてくれるの」

『いきなり引っ付いてくるからビックリしただけ！』

「そ？あっ、コーヒー、僕が用意するよ」



Aが提案していた条件は、随分と僕に優しくなって、今では食事は人間の姿になっている。
その代わり、あれこれと色々手伝わされたりもするけど。



「そうだ、今日から2、3日帰れないかも」

『任務ってやつ？』

「うん、ちょっと調べたい事があってね」



そう言えば、気をつけてね、と言ってくれるA。
何か、恋人っぽくない？とか思うけど、言えば全力で否定してきそうだからやめておく。



『てゆか、甘っ！コーヒー、甘すぎ！』

「あっ、間違えてAの方に砂糖いれちゃったか」



僕の側に置かれたカップと、Aの持っていたカップを入れ替えて口を付ければ、程よい甘さが口の中に広がった。






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