ストロベリースカッシュ《三ツ谷隆》

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高校三年、春。



「A！やった！また一緒！」

『え！ウソ！やったー！』



クラス割の貼紙を友人と祈りながら見た。
見つけた自分の名前と友人の名前。
そして、その二つの名前以外にも探した名前があった。



三ツ谷 隆



同じクラスを何度も見たけどその名前はなくて、見つけたのは階も違う離れたクラスだった。

あれから結局ギクシャクしたままで、多少の話はするものの、事務的な会話はより一層私達の間に出来てしまった溝を深くした。
同じクラスだったらまた前みたいになれるかも…と安易な考えをしていた私はバカだ。



「あ、三ツ谷君」

『えっ！』



指差す方向に居た三ツ谷は、同じクラスになったであろう友達に囲まれていて。
その中には女子の姿もあって…。
三ツ谷く〜ん♡とか、あざとい系の女子は三ツ谷の腕に絡まっていて。



「すっごい顔してる」

『私バカだー』



離れて気付かされる、三ツ谷という存在の大きさ。

私以外の誰かを好きにならないで、と独占欲が垣間見える。
でも、三ツ谷に散々な事をしてしまった私にはそんな権利なくて。
気にしないでしょ、と友人は言ってくれたけど、私は自分が許せなかった。



「Aー！今日の部活ミーティングだけだって！」



二年の秋頃から陸上部に本格入部した。

その理由は不純で、頭を空っぽにして走っていられるからだ。
今日みたいな日は力いっぱい走り続けてグチャグチャにならないと、気付いたら三ツ谷の事ばかり考えてしまう。



『自主練しよっかな』



放課後、野球部が練習する傍らで無我夢中で走り続けた。







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