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今日も誰も来ない図書室。
時計を見れば下校の時間の合図を知らせる数分前。
放課後迎えに来る
そう言った彼の事を思い出し、いつもなら出来るだけ長く居たいと思う図書室を閉める準備に取り掛かる。
窓を閉め、カーテンを引いて、鍵を手に。
少し…ほんの少しだけ楽しみにしている自分がいて、彼に編んでもらった髪の毛が乱れていないか手鏡を覗いた。
ミルクティー色の綺麗に編まれた髪の毛。
鏡に写る姿に黒縁眼鏡は見当たらない。
『お化粧…』
全く興味のなかったソレに、少し興味が出た。
とりあえず、リップだけでも…と取り出した薬用リップを塗っている時だ。
待っていた声とは違う声。
「Aちゃん、発見〜」
現れたのは兄の蘭。
「竜胆だと思ったか?」
『いえ…』
「なー、オレにも連絡先教えろー?竜胆には教えたんだろー?」
蘭ちゃん淋し〜、と私の前までやってくる。
兄貴と関わるな
と、言っていた竜胆。
頭の中で警鐘が鳴り響く。
彼は…危険だ。
「ンな、ビビんなー?仲良くなりたいだけだし…って重っ!」
私の鞄を持ち上げた彼。
思いの外重かったそれに目を見開いて驚いた。
「ナニ、入ってんだー?」
『参考書とか…本…とか』
「ヤッバ、活字ばっかじゃん…オレ、漫画しか読まねェよ?」
そう言って、私の前の席に座りパラパラと1冊の本のページを捲りだす。
挿し絵がねェ…と顎に手を付き本を眺める姿が今までの雰囲気よりいくらか柔らかく感じた。
「Aちゃんって王子様信じてる系?」
信じてる訳じゃない。
こんな私に王子様なんて…と思うし、でも、いつか……と思うのは女なら誰もが思うんじゃないかな。
『はいた…「蘭」
『え?』
「らーん、ホラ、言ってみー?」
じゃないと返事しねェよ?と脅しのように言う彼は、やはり王子様ではなく意地悪義姉さんのような悪役なんだと思う。
でも、何でかな…。
近付いては危険だと分かってる筈なのに、その悪い瞳に吸い込まれそうになる。
『ら……ん…くん』
「ん、よく言えました♡」
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きりまる(プロフ) - 推しが尊いお米さん» ありがとうございますー!!最初は蘭ちゃん落ちだったのですが…(笑)蘭ちゃんのお話も頑張ります!また、宜しくお願い致します(*^^*) (2021年12月1日 23時) (レス) id: 684e8f5b6d (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いお米 - 見ました!!!竜ちゃん落ちあんまりない(気がする)から嬉しいです。私も蘭ちゃんにも幸せになってほしいし、他の作品ももっと見たいです!! (2021年12月1日 23時) (レス) @page28 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - 推しが尊いお米さん» はじめまして(*^^*)コメントありがとうございます!!更新遅くてすいません〜(汗)ラストまでアップしましたので、宜しければご覧下さい……!応援ありがとうございます………!! (2021年12月1日 19時) (レス) id: 684e8f5b6d (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いお米 - 続きが気になりすぎます!!!!これからも応援してます。更新楽しみにしてます! (2021年12月1日 18時) (レス) @page24 id: 11fe216a38 (このIDを非表示/違反報告)
きりまる(プロフ) - HSさん» はじめまして(*^^*)コメントありがとうございます!もうすぐ完結予定です♪ (2021年11月30日 21時) (レス) id: 684e8f5b6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きりまる | 作成日時:2021年11月16日 20時