おとぎの国に堕とされて【短編集】

眠り姫に安眠を＊黄瀬涼太 ページ3

モデルの仕事や練習試合で
暫く家を空ける時がとても怖い

お姫様が目を覚まさないか

そればかりだ


今回は何だかんだで１ヶ月ぶりの帰宅だ
お姫様はどうなっているのだろう
夜も更けてきた住宅街を歩きながら思う


ｶﾞﾁｬ

なるべく静かにドアを開ける

誰もいない 何も変わらない

それだけの事にひどく安心する様になったのは
いつからだろう








＊＊＊
頬に風が当たる
少し寒いな…

…

……

………

???!

慌てて起きる

寒い冬の夜風が直撃する
寝ぼけた頭も段々と冴える

いつの間に寝てしまったんだろう


“風が当たる”なんておかしいんだ

だって“窓は開けてない”んだから


『…ちゃ…』

「!!!…Aっち？」

『…ちゃん』

開け放たれていた窓に駆け寄る
カーテンが邪魔だ
払い除けて
腕を広げる


ﾄﾞｻｯ

『涼ちゃん！』

比喩でもなく
ほんとに俺の腕の中に飛び込んできた

「Aっち！
…起きちゃったんスね」

『涼ちゃんが出掛けた後
直ぐに目が覚めちゃって
それからずうっと起きてたの
…私エライ？』

俺が出掛けてからずっとて事は…
１ヶ月近く寝てない…のか？

「うん、エライエライ…
でも、もう寝よっか、ね？」

『…ギュッとしててね…？』

「…当然っス」


＊ 眠り姫に安眠を ＊


そうしてお姫様―――Aは
俺の腕の中で眠りについた




｡:+* ﾟ ゜ﾟ *+:｡:+* ﾟ ゜ﾟ *+:｡:+* ﾟ ゜ﾟ *
リクエストでも何でもない書きたかったやつ
一応眠りの森の美女パロのつもり
まぁAは不眠症だけど

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