58話 ページ13
☆霧野side☆
「・・・っはぁ！？」
大馬鹿霧野、と書かれた小さなメモ用紙を見て、
俺は思わず声をあげた。
さっきまで全然起き上がる気も無かったのに、
ガバッと上半身を起こしてしまう。
女子がよく使いそうな、可愛らしい絵が描かれたメモ帳に、
見慣れたあいつの文字。
いつ書いたんだよ、とか呟きながらも目を走らせる。
『届けさせるなら、ちゃんと家に居て下さい、この大馬鹿。』
＿＿＿多分、母さんに渡す前にサッと書いたのだろう。
佐久間のことだ、きっと母さんに
『ちょっと蘭丸くんに伝言がありまして〜』
なんて言ってその場で書いたに違いない。
・・・そこで(これは俺の予想だが)それを認めた母さんも母さんだ。
ぶつぶつ言いながら、そのメモ用紙を折り畳もうとして。
俺は、その文章がまだ終わってない事に気が付いた。
メモ用紙の裏側に、まだ何か言葉が書いてあることに気が付いたのだ。
慌てて、メモ用紙を裏返す。
そこには、相変わらずのあいつの字で、こう書いてあった。
『まぁ、部活が忙しいのは分かってるから。応援してる。』
その文を見た途端、
俺の中から何かが湧き上がってきて、急に顔がじんじんと火照りだした。
運動をした後でも無いのに、心臓がバクバクと音を立てて動き出す。
「・・・っ、あー、馬鹿だこいつ！部活じゃないのに勘違いしやがって」
誰もいないのに、聞く相手なんて居る訳でもないのに、
何故かそんな言葉を放った。
この気持ちは、一体どう説明したらいいだろう。
試合で勝利したときののあの感じとはまた違う、
言い表せないような・・・湧き上がる気持ち。
喜び、緊張、焦り、驚き・・・いや、そんな単純な言葉では説明出来ない。
少なくとも、俺の脳内にある語彙だけでは無理な事だった。
駄目だ駄目だ、俺は何を考えてるんだ。
赤く火照った顔をブルッと振り、ノートを机の上に置いた。
勿論、綺麗に折り畳んだあの手紙も隣に置いて。
宿題なんて忘れて、そのまま＿＿＿制服も脱がずに、
ベットにもう一度顔を埋めた。
『応援してる。』
その、短い文を思い出すだけで。
また俺の心臓は煩く鳴り始めた。
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 38人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
y - こんばんは。あなたの小説、私は今でも読んでいます。今年はイナズマの新作アニメが始まりますね。またあなたの作品が読めることを楽しみに願っています。 (2017年5月22日 0時) (
レス) id: e3b1ae5e34 (このIDを非表示/違反報告)
しぃ@イナイレ - 正直…寂しいですっ！また戻って来てくれるのを楽しみにしています！^^ (2014年4月10日 22時) (レス) id: ad97b7eaf8 (このIDを非表示/違反報告)
エミ@愛新覚羅(プロフ) - なんか寂しいですけど、またここに帰ってきてくれることを信じています。でも新しく作り直さなくてもいいと思います。私はこの小説、好きです。また戻ってきてくださった時は教えてくださいね^ ^ (2012年12月13日 21時) (レス) id: 757fa23758 (このIDを非表示/違反報告)
ＲＩＡ - Ｎｏａｈさんのことも小説のことも大好きです((いきなりすいません(泣)なのでまたここに来ることを楽しみに待ってます＾＾ (2012年11月21日 13時) (携帯から) (レス) id: 9d6eb6d0c6 (このIDを非表示/違反報告)
たお - それはあなたの自由だと思います。私はあなたが大好きなので、無理に引き止めたりしません。あなたが一番良いと思う答え。それが私の望みです。すいません。なんか変ですね(笑)…待ってます。 (2012年11月19日 23時) (レス) id: d0ff0a894d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：。+*Ｎｏａｈ*+。 | 作者ホームページ：http://commu.nosv.org/bbs/t%3A%E3%80%82%20%2A%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%8D%E3%81%9...
作成日時：2012年8月31日 17時
