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信五君と侯君を同窓会に送って、私は信五君の車を借りて実家のあった場所に向かう。
信五君に「確かめてきて」と頼まれた事があった。




私達の家のちょうど中間地点にある公園。そこに着いたら、袋の中のメモを見ろと言われていた。



近くの駐車場に車を停めて荷物を持って歩き出す。天気は相変わらずの快晴。

お墓参りが終わってから持っていくようにと信五君に渡された袋の中には、なぜか軍手とスコップが入っていた。

花でも植えさせるつもりなのかな、公園とはいえ勝手に植えたら怒られるし。



徒歩だといろんなものが目に入る。

路肩のタンポポ、新しくなったマンホール、塀の上の知らない猫。

通学路だから知っている景色のはずだけど、久しぶりに見ると少しずつ違和感がある。



実家のあった場所には何かの土台が組まれていた。


新しい家が建つのかもしれない。

これでここに新しい建物が出来たら、私の家族の思い出はどこに残るんだろう。


不思議なほど感慨はなかった。一人だとやっぱり涙は出なくて、かえって清々しいような気持で私はここに立っている。




「よし」


大丈夫だ。

私はまた歩き出す。
信五君に指定された、私にとっても幼い頃の思い出のある公園に向かって。






土手を歩いていると、向かい側から犬を連れた男の子と女の子が何か言い争いをしながら歩いてくるのが見えた。

兄妹か、幼馴染か。

女の子は泣きそうで何か一言二言喋り、男の子はそれに気づきながらも引っ込みがつかなくなっているみたいでまくし立てている。真ん中には2人の顔を見ながら右往左往する犬。

あ、

ワンちゃんと目が合った。

ワンちゃんは何を思ったのか私の方に向かって走り出し、言い争いに夢中になっていた男の子は、勢いに負けてリードを離してしまった。

弾丸みたいな勢いで突進してきたワンちゃんは、無邪気そうな大型犬。



まあ、だからつまり、あれですよね。



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きりん虫(プロフ) - かさねさん» かさねさん、お付き合い頂いてありがとうございます!憧れの作家さんからコメントを頂いてとっても励みになりました。また読んでいただけるようにがんばります。 (2019年4月1日 6時) (レス) id: 04ee5be231 (このIDを非表示/違反報告)
かさね(プロフ) - ちょっと泣きそう‥。毎日の癒しでした、お疲れ様でした! (2019年3月31日 22時) (レス) id: e9dff60579 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - chiakiさん» chiakiさん、読んでいただいてありがとうございます!コメントとても嬉しいです。長くなった上グダグダしてしまい楽しんでいただけているのか不安になりながら更新していました。新しい話もあげてみましたので良ければよろしくおねがいします。 (2019年3月31日 7時) (レス) id: 04ee5be231 (このIDを非表示/違反報告)
chiaki(プロフ) - はじめまして。最初から最後まで更新を毎日楽しみにしながら読ませて頂きました。日常に溢れかえる愛のようなものをひしひしと感じて、すばるお兄ちゃんからのお手紙にも泣きました…またどこかできりん虫さんのお話を歩けるのを楽しみにしています。 (2019年3月31日 6時) (レス) id: 358b411256 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きりん虫 | 作成日時:2019年3月29日 5時

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