6 ページ45
◎Aside
ガラガラと音を立てて扉が開いて研究室に入ってきたのは、章大君ではなかった。
部外者が一人でこんなところにいたら怒られると思ってちょっと焦ったけれど、よく見たらそれは知っている顔。
「Aちゃん、俺のこと覚えてる？」
「丸山君」
「うん。マルちゃんでええよ」
丸山君は今日の私たちのデートの事を知っていて、さっき校内で偶然章大君に会って私の事を頼まれたのだ、と言った。
「章ちゃんサークルの人らに捕まってもうてたから、あの調子やとしばらく返してもらえなさそう。俺に『Aちゃんが逃げんように見といて！』やって」
丸山君は私の顔を覗き込んでニコッと笑った。
「元気ないけど、もしかしてほんまに逃げるとこやった？」
「…私ここにいて大丈夫かな？」
「平気平気。この時間ならほとんど誰も来んし、そもそも俺らの専用基地みたいなもんやから」
章大君は「ここで空き時間をつぶしている」と言ってたけど、確かにこの部屋は研究室というよりは基地みたい。
本棚には難しそうな専門書に交じって漫画や雑誌が並んでいるし、なんでかギターとベースとカホンが置いてあるし、毛布とか枕とか小さい冷蔵庫まで備えてある。
丸山君は冷蔵庫からカフェオレとブラックコーヒーを出して私の前に置いた。
「Aちゃんはカフェオレ？」
「うん、ありがとう。なんでわかったの？」
「この前会った時飲んでた」
そう言ってまたニコッと笑って私の目の前の椅子に無造作に座る。
きっと彼は気遣いの人だ。
この前はほんの数分居合わせただけなのに私が何を飲んでたか覚えてるなんて、ちょっとすごい。
丸山君は近くで見ると顔のパーツがすごく整っている。手足が長くてモデルみたい。
大学院生だって言ってたし多分私と同じくらいの年だと思うけど、やっぱり校内にいる男の子たちより大人っぽくて余裕がある感じ。
でもニコニコしていて親しみやすい。
笑いかけられたら勘違いしちゃう女の子は一定数いそう。
これは、モテるだろうなぁ。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 276人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関ジャニ∞」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みき(プロフ) - 待ってます！ (2021年4月14日 10時) (
レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
cayochi(プロフ) - 私も待ちます (2021年4月14日 8時) (レス) id: 89ed3d2d70 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - いい子で待ってます (2021年4月14日 8時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - イイ二人の世界だ〜(*´艸｀*) (2021年4月14日 8時) (レス) id: d5063d2f63 (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 二度目の更新有難うございます！丸ちゃん、金木犀の香り…想像できます〜♪♪でも、連絡先交換とか名前で呼ばせるとか！？えっ！！丸ちゃんーー！！！って感じです！！笑 (2021年4月13日 19時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりん虫
| 作成日時：2021年3月8日 9時
