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「今日、ハロウィンだったね」
誰の趣味なのかお姫様みたいな外観のクイーンサイズのベッドの上で、私はマックに咬まれて、マックのものになった。
儀式が終わった後で着たお揃いのルームウエアは、思った以上に恥ずかしい。
月明かりが差し込むベッドの上で、私達はまた、ぴったりくっついていた。
マ「魔除けする日やのにまんまと闇の者を大量に家ん中に入れてもうたな」
「ほんとだ。まんまと餌食になったし」
だってこの人達鍵閉めてても勝手にどんどん入ってくるし、こんなきれいな顔に迫られたら、防ぎようがなくない？
マ「…大丈夫やった？」
「うん、マックは？実は思ったより美味しくなかったとか…」
マ「あほ」
ちょっとほっぺたをつねられる。ぐっと距離が近くなったのに、もうソワソワしなかった。
目を合わせて笑いあう。
今なら何でも聞けそうだったので、私はずっと気になっていた事を聞いた。
「ねぇ
どうやったら、吸血鬼になるの？」
血を吸われただけで、私はまだ“仲間”にはなっていない。
マ「なりたい、とか考える？」
「だって私だけ年取るとか、考えただけで地獄なんだけど」
そう言ったら、マックは神妙な顔を崩してふはっと吹きだした。
いつまで一緒にいられるのかわからないし、わからないことばかりだけど。
今は、一緒にいたい。ずっと。
マ「それはまた、覚悟がいるから。今日はここまで」
眠いやろ、と言われて、セッ クスした後みたいに重だるくなった体を自覚する。
咬まれるのは、本当に気持ちが良かった。確かにちょっと、癖になるかもしれない。
結局、マックが美味しかったのかどうかはわからないけれど。
少なくとも私は、後悔していない。幸せな気持ちになった。
他にも聞きたいことはたくさんあるのに。
薄れていく意識の外で、私を取り込んだ闇の者の声がする。
マ「ハッピーハロウィン。闇の世界へようこそ」
Fin
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年7月6日 21時
