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料理は前菜、メインが終わって、あとはデザート。
この後はみんなで庭に出て、新郎新婦がサーブしてくれるデザートビュッフェを立食する、と司会の人が言ったので、みんなノロノロと立ち上がる。
カーテンが開いて、庭に続く窓が大きく開け放されたところで、外から気持ちのいい風と一緒に、明るい日差しが一気に入ってきた。
急に眩しくなって、私は思わず目を、閉じる。
「いや、あれは痺れたわ。まったく同感」
次に目を開けた時には、私は式場の前の廊下に立っていた。
目の前にはアラジンと白雪姫。
二人と目が合った瞬間寒気が止まらなくなる。
「なに…?」
さっきまで式場の中にいたのに。
騒がしいはずの式場の中からは、何の音も聞こえない。というか、私達3人以外の気配がない。
「“美味しいものを美味しく食べれないタイプとは仲良くなれない”」
アラジンが意味ありげに微笑みながら言う。
あれ、それ私、口に出して言った?
「言ってない。あと俺アラジンやなくてエースやから」
え?え?
「ちなみにこっちも、白雪姫やなくてマック」
ニヤニヤ笑いながら、無意識に後ずさっていた私の腰にそっと手を添える。
後ろは壁で、ぶつからないように支えてくれたらしかったけど、その手はびっくりするほど冷たかった。
私はまた、寒気を覚えて震える。
頭の中が読まれてる??
マ「エース、からかうなや。混乱してるやろ」
マ「エースは人の頭ん中が聞こえんねん」
うまく話を飲み込めない。
思考停止。
さっき自己紹介した時は、もっと普通の名前だったはず。なのに、何でかうまく思い出せない。
とりあえず。
「…ええと、エースさんとマックさん。本名ですか?」
ぶぶッと吹き出した2人は、笑うとなんだかかわいかった。
マックさんは笑い上戸なのか膝が崩れそうなほど笑っている。
マ「本名ではない。ずっと生きてると本名都合悪いねん。あだ名やし、マックでええよ」
エ「時代に合った名前ってあるやんか。100年以上生きてると色々あんねん」
100年以上。
ああ、もし江戸時代とかから生きてたら、ほんとはナントカ右衛門、とかなのかな、ナントカ兵衛、とか。
頭の中で考えただけなのにエースはまたしても吹き出した。
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作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年7月6日 21時