6 ページ14
.
私がそう言うとニヤッと笑って、ガムの肩をバシッと叩いたエース。
エ「ガム、ほんま使えへん」
ガ「俺のせいちゃうって。Aちゃん肝座ってんなぁ」
何が？さっそく話が全然わからない。
ガ「吸血鬼に挟まれてそんなん言われたら取り乱して逃げ出すんちゃうかと思って俺が選ばれたのに、いきなり覚悟決めんねんもん。全然出番ない」
ますます訳がわからない私にエースが言った。
エ「ガムは気分を操作できるから」
「気分を操作？」
ガ「そう。ハッピーな気分にしたり、やる気にさせたり、逆に無気力にしたりすることもできるけど」
エ「マインドコントローラーみたいな感じ」
エ「能力を使わんで微妙な空気にすることもできるけどな」
ガ「ゴホン。とにかく、さっきも店でちょっとやったけど、Aちゃんあんまりチャンネル合わへんのかな。うまくいかんわ」
エ「ちょっと契約の影響がでてんのかも」
「あの、さっき店でちょっとやったって、なにしたの？」
美味しくないスイーツを美味しいと錯覚させる、とかだったら困る。
ガ「俺に魅力を感じるように。俺の事を好きにさせてbarまで誘導しようと思ったのに、何なら俺が念込めて声掛けた時よりスイーツ食べた時の方が気持ち上がったよね」
そうだ。確かにスイーツが美味しかったから、今日barに行こうと思った。
スイーツの味を思い出していたら、エースが堪えきれないように笑った。
エ「この前から思っとったけど、お前食い意地張ってんのな」
「美味しいものを食べて元気が出るのは普通の事でしょ」
ガ「スイーツに負けた…」
「あれ、ホントにガムが作ったの？」
ガ「そうやで。ミルクの配合がポイント」
A「すごくおいしかった」
ガ「barでもオリジナルスイーツ出そうと思って色々試作しとんねん。Aちゃん味見してくれへん？」
ニコニコしながら私を見たガムは、そっと私の手を握った。
甘やかな感情が流れ込んでくる。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 107人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年7月6日 21時
