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破れた傘とエンゲージ-黒黄- ページ1

破れた傘とエンゲージ-黒黄-




「吸血鬼」



ただの思いつきの呟き。
それなのにビクッと飛び上がって、私を見た人が2人。

一人は彫りの深い2枚目。
初め見た時、あれに似ていると思った。

アラジン。

中東の好青年。


もう一人は色白の背の高いイケメン。

彼はあれだ。

白雪姫。

女性的な薄幸の貴族。





悪友の結婚披露パーティー。

案内された席は、男女混合のおそらくよく言えば「新郎新婦の友人席」で、悪く言えば「寄せ集め」の席。
「あんたの席は合コン席にしといたから」と恩着せがましく言った新婦の言葉を信じるならば、全員フリーということになるだろうけど、女子4人、男子4人の円形のテーブルには明らかにモテるであろう2枚目男子が2人、入っていた。

2枚目の2人は知り合いで、そして人見知りらしく、明らかに女子たちから関心を持たれているのに2人だけでコソコソ喋っている。

私の他の女子は、新郎の職場関係の若い子3人。
キャピキャピした女子。ドレスの色は赤青黄で信号みたいだな、と思った。

イケメン2人以外の男子は新婦の元カレのうち遜色のない人たち。
良くも悪くも癖のない、そこそこいいとこに勤めている人達で、紹介されたことはないけれど、今日の主役である新婦が悪い別れ方をしていない元カレ達だということは、初めの自己紹介の時に気づいた。
のんきに名刺交換などしている所をみると、お互いに気づいてないと思うけど。

アラジンと白雪姫に似たイケメンの2人は、新郎の友達です、と自己紹介した後2人の世界に入ってしまい、女子ズはそれを見てキャーキャー言っている。

さっきから場は混沌としていた。


この席が合コン席だというのであれば、新婦は私に、元カレをあてがおうとしているのか、それともこのディズニー映画に出てきそうなイケメンのどちらかとお近づきになれという事か。


どっちにしてもカロリー高い。


労力を考えて、私は場を放棄して料理を楽しむことにする。
食べないともったいないし。

せっかくいいレストランでの式なのに、この席の招待客は話に夢中で料理に手を付けない。





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作者名:きりん虫 | 作成日時:2020年7月6日 21時

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