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観覧車なんて、久しぶりに乗った。
お化け屋敷で気力を使い果たしたヒカルさんを地上に残して、私とぴーまんさんを乗せた観覧車は昇っていく。
ぴ「密室になるとやっぱり気になるなぁ」
ぴ「吸血鬼のにおいがするよ」
ぴーまんさんのその一言で、空気が、変わった。
彼は相変わらず笑顔のままで「我慢してたけどやっぱりにおいヤバい」と言った。
目は笑っていない。
「…ぴーまんさん」
ぴ「ほんとうに」
ぴ「びっくりするほど、隙だらけ」
彼と2人の密室が、急に息苦しくなった。
さっきまであんなに楽しく一緒に笑っていたのに
もう、彼も私も、笑っていなかった。
ぴ「絶対知りたいはずだと思ったから、おいしそうなエサをまいたのに食いついてくれないし」
ぴ「そのにおい、僕の言う事全然守ってないでしょ。『危ないやつとは距離とって』って言ったのに」
ぴ「その濃いにおいのやつと、契約、してるんでしょ？」
ぴ「ダンピールの僕には、興味なかった？」
無意識に首を横に振る。
「ぴーまんさんは、なんで――――私に忠告を？」
ぴ「吸血鬼が許せないから。君が餌食になるのを黙って見てられない」
なにひとつ確証を持てない私とは正反対に、彼の声は確信に満ちている。
ぴ「穢れた血のせいで僕の母親がどうなったか知ったら、気持ちが変わると思うよ」
話をしたい、とは思う。
私が話を聞くことで、この目の前の人の気持ちが少しでも楽になるのなら。
「聞きたい、です」
でも
「私の気持ちが変わるかは、わからないけど」
そう言ったら彼は、顔をゆがめて笑った。
ぴ「そっか」
ぴ「―――Aちゃんは、ロジカルじゃないね」
そして
密室の中で、避けることもできないまま
私は、彼に咬まれた。
咬んだ後で「ごめんね」と悪びれずににっこり笑った彼は、欲 情しているのを隠していなかった。
私は、気が遠くなりそうになりながら、図ったように地上に到着した観覧車の外に逃げる。
彼に咬まれた時の感触は、マックに咬まれた時のそれで
特別だと思っていたその行為が、とても気軽に、マック以外の人からもたらされたことに
私はひどく、絶望的な気持ちになった。
観覧車を降りて2人と別れた後も、私の頭の中では首元で彼が笑いながら囁いた言葉が呪詛のようにこだましている。
“ねえ、Aちゃん”
“ダンピールは、不老不死の吸血鬼を殺せるって、知ってた？”
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きりん虫(プロフ) - 優貴さん» 優貴さん！バタバタ終わらせてしまってすみません(汗)また番外編など書きに戻ります！コメント頂けて嬉しかったです、こちらこそありがとうございます。 (2020年6月19日 7時) (
レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
優貴(プロフ) - 遅くなってしまいましたが、お疲れ様でした。とても大好きなお話だったので終わってしまったという寂しさはありますが、きりん虫さんの作品をまたひとつ読み終えた喜びでファンとしてはたまらない気持ちです(*^^*)two of usも楽しみです、ありがとうございました。 (2020年6月18日 22時) (レス) id: 71e80fd819 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - 美緒さん» 美緒さんありがとうございます^ ^楽しんで頂けてよかったです！ (2020年6月18日 19時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - まゆまゆさん» まゆまゆさんありがとうございます。コメント見逃してました！今ちょっと番外編に取り掛かっていていつになるかわかりませんが、気長にお待ちください。 (2020年6月18日 19時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
美緒(プロフ) - すごくおもしろかったです！！ (2020年6月18日 9時) (レス) id: 487cbba7f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2020年5月24日 7時
