8 ページ8
.
毒の話を聞いたジャッキーに有無を言わさず引っ張られて膝の上に乗せられる。
私にイライラして八重歯が伸びているかと思っていたジャッキーは、至近距離で見たらちょっと困った顔をしていた。
ジャ「…飲んでないんやな？」
「うん、ちょっとは口に入ったかもだけど、そんなに強い毒じゃないと思うし、今のところ」
何ともないよ私お腹丈夫だし、と言おうと思ったらぎゅう、と抱きしめられた。
ジャ「ふぅん」
残ってなさそうやからまぁええわ、と憮然とした顔で言って腕を緩めてくれたけれど、膝の上から降ろしてはくれなかった。
ト「何ですぐ言わんの？万が一何かあってからでは遅いやろ」
「うん、でももしかしたら勘違いとか、からかわれただけかもしれないし、と思って一応」
慣れない奥様のお茶の入れ方がよろしくなかったのか、カップの淵についていたお茶の葉のかけら。
ハンカチに包んで拝借してきたそれを、チラッと見せる。
「あとで調べてみてこれがほんとに毒だったら、ジャッキーには相談しようと思ってたよ」
「だからお願いマックには言わないで」
マックは絶対気にするから。
私を膝に乗せたまま天を仰ぐジャッキー。
いい加減膝に乗っているのがちょっと恥ずかしくなってきたんだけど。
横からスッと手が伸びてきて、トッポが私のハンカチをお茶の葉ごと奪い取った。
ト「これは俺が調べとく」
ト「あと今度あのばばあから依頼来たら俺とジョニーで行くからマックには回さんで。Aちゃんも絶対もう行っちゃだめ」
そう言って無表情で席を立って部屋を出て行ったトッポ。
『俺』って言った。
なんかこわい。さっきからちょいちょいオスが出ている。
ジャ「あいつ、最近やたら感受性豊かやな」
「大丈夫なの？」
ジャ「任せとけ。専門やから」
聞けばトッポは、植物や動物の毒とかに詳しくて薬剤を調合したりするのに長けていて、狩りの時は人妻だろうと老紳士だろうと落ちない人間はいないジゴロだそうだ。
ジゴロ…。
私の天使ちゃんがジゴロ…。
そう言われればさっきのオスモードはちょっといつもと感じが違った。
毒に詳しいとか薬剤を調合するのに長けているとか、そんなことはどうでもよくなる衝撃だわ。
全くこの人たちは、全然底が知れない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 293人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» 最高頂きました！ありがとうございます。ちょっと来週からまたここの更新を頑張ります。 (2020年5月23日 6時) (
レス) id: 04ee5be231 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - うーん、やばい、最高！！ (2020年5月22日 20時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - めろんぱんさん» めろんぱんさんこちらにもコメントありがとうございます！ここの反応が1番ドキドキなので嬉しいです〜！ (2020年5月22日 12時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
めろんぱん(プロフ) - 朝から泣きましたーーーーー丸山さんはもちろんですが他の方々もみんなぴったりしっくり来すぎてすごい。このシリーズ大好きなので、続くと聞いて狂喜乱舞しております！！泣いたり笑ったり忙しい。。。ありがとうございますーーー (2020年5月22日 10時) (レス) id: b5cc118e0b (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - さくらさん» さくらさんはじめまして！コメントありがとうございます。何回も読んでくれたなんて嬉しいです！不定期更新ですが気長にお付き合いください！ (2020年5月16日 21時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：きりん虫
| 作成日時：2019年11月25日 18時
