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横「幸せが逃げるぞー」
不意に後ろから主任の声がして、びっくりして振り返る。
「…帰ったんじゃ」
横「コーヒー買いに行っただけや。残業するとか言うから」
主任の目線は、私の手元のあたりを彷徨っている。
横「進んでないやん、大丈夫か？」
「――主任を、がっかりさせたと思って」
一言、漏れてしまったらもう止まらなかった。
今は主任の顔を見たくなくて、私も自分の手元を見たまま感情を吐き出した。
「仕事中に具合悪くなって倒れるし、歓迎会で酔って絡んで記憶を無くしたし、歓迎会の後から目も合わせてくれないから、もう嫌われちゃったと思って」
また決壊しそうな涙腺をどうにかとどめていると、遠慮がちに頭を撫でられる。
「報告書書かなきゃいけないのに、横山主任に嫌われたかもと思ったら、感情ぐちゃぐちゃで」
頭を撫でていた主任の手が私の肩を遠慮がちに引っ張って顔をあげさせられる。
今日初めて、横山主任とちゃんと目が合った。
横「それは、」
横「俺に嫌われたらつらい、ていうことでええの？」
「――はい」
仕事をきちんとできなかったことよりも
誰かにだらしないところを認識されてしまうことよりも
私は、好きな人に、嫌われたくない―――
横「ほな、俺はAさんが好きやから大丈夫やな」
横「Aさんが酔って俺を好きやーって言うてくれたのは上司としてなのはわかってるから」
横「安心してほら、報告書」
頭の中で村子さんの“押せ”という声が響いた。
「好きです」
「指導係が横山主任でよかったです。教えていただけて光栄でした。でもいつの間にか、主任の仕事だけじゃなく主任の事ばかり見てしまって、仕事中も主任のことばかり考えてしまって、最後の最後で残業することになってしまって情けないです」
「本当はずっと、大好きな主任の後ろで主任を見ていたいのに、研修が終わってしまって残念です」
「―――って報告書に書いてもいいですか」
横「…書き直し、やろうなぁ多分」
私達はちゃんと目を合わせて、一緒に吹き出した。
横「コーヒー買ってくるから、報告書頑張り。終わったら一緒に帰ろ」
「さっき買いに行ったんじゃないんですか？」
あー、と息を吐き出して頭を掻いた主任は、心なしか顔が赤い。
私の精一杯の報告は、届いただろうか。
横「財布忘れた」
終
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きりん虫(プロフ) - ブルームーンさん» ほんとですか？ありがとうございます！ちょっとでも皆様の気分転換になっていれば幸いです。 (2020年3月30日 12時) (
レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
ブルームーン(プロフ) - オフィスレディ、可愛く描けてますよ！移行先では青さんのとオフィスラブが…更新楽しみです！！ (2020年3月30日 6時) (レス) id: a475b78d7e (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - こあさん» こあさんコメントありがとうございます！キュンキュンして頂けてよかったです！ (2020年3月23日 6時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
こあ(プロフ) - そんな村子さんが大好きです(違う) さりげなくサブキャラに落とされそうになるとは。恐るべし。もちろんキュンキュンも戴いて満腹です(^-^) (2020年3月23日 2時) (レス) id: 2691bf805d (このIDを非表示/違反報告)
きりん虫(プロフ) - 優貴さん» 優貴さんにキュンして頂けたら光栄です！疲れた時は糖分とって下さいね。ここは劇的な甘さでお送りします。 (2020年3月14日 17時) (レス) id: 3c36dba7b1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きりん虫
| 作成日時：2019年6月30日 6時
