《8》過去の痕 ←11/6up ページ10
和也くんと過ごす休日は早過ぎて
時計が壊れたんじゃないかと本気で思う。こんなにも時間がすぎるのが早いのは子どもの頃の遊びの時間以来だろうか。
「うぅー帰し難いマジで……」
「あはは。でも帰らないと、明日からまた仕事だよ？」
「あぁ……そうだけどさぁ」
送ってきてくれた車の中で、和也くんが呻くように言って私の手を握った。
「なぁんかAちゃんまだ完全に解れてないのに、オレこっから10日間も海外出張で買い付け行っちゃうだよ……」
そんなこと無い……と思う。
ちゃんと分かってるつもりだし、和也くんとの関係にモヤモヤするのは自信のない自分の問題だから
「大丈夫ですよ？良い子で待ってます……身体に気をつけてお仕事頑張ってね」
「うん、頑張る。さっさと良いの仕入れてくる、あっちでガンガン買い叩いてきて社長に休みを申請してやる……」
「モチベーションそこ？……ふふふ」
その駄々のこね方みたいなのが可愛くて、本人に言ったら怒られそうだけど、笑っているとぺろりと自分の唇を艶かしく舐めて見せた和也くんが言ってきた。
「だってさ……そしたら来月あたりのんびり温泉とかで……ね、仲良くシまくろうよ」
「は？……ばか！」
そ、そんな色っぽい顔でそんな事を言わないで！心臓に悪すぎる！
「よし、決めた。和也くん頑張る！あ、そうだAちゃん……1つだけ約束して？」
「ん？」
先程までのコミカルな動きや顔はやめて、急に真顔で和也くんが見つめてきた。
「とにかくオレのこと信じて？」
「うん」
もしかして松本さんの事かな？
和也くんが留守だと分かれば何か言われるかもしれないとは覚悟はしているけど……
「それだけ。オレはAちゃんとの縁、信じてるからAちゃんも信じて？」
「ん、分かった。私も信じてるよ？」
そのまま自然にどちらからともなく指を絡めると身体が近づいて、そっと唇が合わさる。
ただ触れただけなのに、ピリと痺れたような、しかも蕩けるような感覚が全身に走る。
「そんな可愛い顔しないでよ」
愛おしくて目を見れば、丸い指が頬を撫でてきたから私は笑って和也くんの鼻を擦る。
「そっちこそ、そんなに甘い顔しないで？」
戯れあいみたいなやりとりで微笑みあえば幸せだ。
10日間なんて、きっとあっという間だ……そう思ってた。
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咲詩(さきうた)(プロフ) - りりさん» りりさん。有難うございます(T_T)こちらにまで……やっと終わりました（笑）そうですね、混沌とした世界に射す光がどうか温かいものでありますように。私たちにも彼らにも。素敵な言葉を有難う御座いました！ (2020年1月22日 22時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やっと読めました！あ、つばきです（笑）たくさん、たくさんの素敵なお話をありがとうございます。これから、鮮やかな彩りに満ちた世界が待っていますように。彼ら5人にも私たちにも (2020年1月6日 23時) (レス) id: 2112e3c25f (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃん。いつも本当にありがとう。そうだね、書いてて痛かった笑……でもその傷があるからこそ縁を感じられて大事にできる人になれるんだと思う。完全なる私の願望だけどね笑今まで本当に有難う (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 郷さん» 郷さん。そうなんですね……私の場合たまたまこのタイミングになってしまったんですが作品についてのお知らせをメッセージさせて頂きますね。読んでくださって大好きと言ってくださって本当に有難うございます。コメントを読んでいて涙が出ました (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐちゃん。ありがとうこちらこそいつも読んでくれてコメントまでくれて感謝しかないし、大好きだよ。今まで本当にありがとう…… (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年10月24日 23時
