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二人で並んで絵を見ていると
ここは美術館だから大きな声は出せないからか、和也くんが小さく囁くように呟いた。
「なんでこの絵に惹かれるんだか解らないよね」
「そうね」
二人で……出逢ったこの間は離れて、今日はしっかり隣で手を繋いで絵を見る。
じっと眺めていると、この人物は女性だと思っていたけれど、もしかしたらこれは和也くんにも似てないかしら？と思えてきた。
描かれているのは天使？よく見れば中性的にも見えてきた。だから惹かれたのかな。
しばらく無言で絵を眺めていた二人だったけれど、ふと和也くんがこちらを見て私も彼を見て目が合う。
榛色の瞳には否定の色も疑問の色も浮かんでいなくて、ただ私がそこに鏡を見たかのように映し出されていた。
言わなくても、たぶん私がそう思った事が和也くんには伝わったのだろう。
そう考えていると、目を細めて微笑んだ和也くんがまた小さく呟いた。
「なんか分かった。あの絵はきっとAちゃんなんだねぇ」
彼から発された言葉にびっくりして息を呑む。
(私？)
「私は和也くんだと思ったよ？」
だってものすごく綺麗な人物だよ？
「ええ！こんな美人？オレ……」
「うん」
自覚ないのかしら。
さっきから近くを通る女性たちがチラチラ貴方を見ていきますよ？なんて思っていると、和也くんがはぁとため息みたいに息を吐き出しながら呟く。
「やっぱ、Aちゃんは自覚ないから困るなぁ……さっきっから歩いてくオトコがあなたを見てるの気づいてないんだから……」
思ってることが鏡みたいになるのかしら？
それ、私のセリフ！と思うとおかしくて和也くんの手を軽く叩くとイテと言いながら冗談っぽく手を撫でて、そのまま反対の手で私の手を引いてきて笑った。
「そろそろ先に進みますか」
確かに混雑している中、ずっとそこに留まるのも難しそうだし、折角だから他も楽しもうと思った。
「そうね、他の絵も見よう？」
結局、その他の絵も眺めたけれど、あの最初に出会った絵ほどは惹かれず。
それは和也くんも同じらしく、サラッと見て回るだけでショップまで来てしまった。
やはりあの絵が二人にとっては特別なのだろう。改めてそう思った。
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咲詩(さきうた)(プロフ) - りりさん» りりさん。有難うございます(T_T)こちらにまで……やっと終わりました（笑）そうですね、混沌とした世界に射す光がどうか温かいものでありますように。私たちにも彼らにも。素敵な言葉を有難う御座いました！ (2020年1月22日 22時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やっと読めました！あ、つばきです（笑）たくさん、たくさんの素敵なお話をありがとうございます。これから、鮮やかな彩りに満ちた世界が待っていますように。彼ら5人にも私たちにも (2020年1月6日 23時) (レス) id: 2112e3c25f (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃん。いつも本当にありがとう。そうだね、書いてて痛かった笑……でもその傷があるからこそ縁を感じられて大事にできる人になれるんだと思う。完全なる私の願望だけどね笑今まで本当に有難う (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 郷さん» 郷さん。そうなんですね……私の場合たまたまこのタイミングになってしまったんですが作品についてのお知らせをメッセージさせて頂きますね。読んでくださって大好きと言ってくださって本当に有難うございます。コメントを読んでいて涙が出ました (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐちゃん。ありがとうこちらこそいつも読んでくれてコメントまでくれて感謝しかないし、大好きだよ。今まで本当にありがとう…… (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年10月24日 23時
