3. ページ45
こんなに嬉しい事はない。
高価な物を私の為だと選んできてくれる愛情もあるかもしれない。
だけど私はそれを望んでなくて……それをわかってくれたのも嬉しいし
私と言う『存在』と言うか、私のミニチュアというかを彼は異国に連れて行って共にいてくれただなんて……
彼の半身になれてた気がして、何より私にはその事が嬉しかった。
「嬉しい……和也くんは私を連れて行ってくれてたんだね？」
「え？あ……うん、そうなのかも。連れてってたのかも。だからさ」
そこで、ぎゅっと手を握られた。
小さめの手だけれど、そうすると暖かく包まれて、とても大きく感じられる。
「こんな感じで言うのムードもないかもしれないけど、今言いたい」
「ん？」
「一緒に暮らそう、一生傍に居て？」
……その瞬間思考が停止した。
何を言われたのか即座に理解できなくて固まってしまう。
「あ……？え？」
「書類上の事、綺麗にしたらになっちゃうけど……これからの人生を隣で一緒に歩いて欲しい」
その真剣な眼差しに……言葉の重みを感じた。
身体中から……分からない、何か震えが上がってきて、恐る恐る手を伸ばして震える手でそっと和也くんの身体にしがみついた。
「あの……」
「うん？どうした？」
「私でいいの？出会ったばっかりだよ？」
まだ出会って2月も経ってない……
「長さじゃないと思う。Aちゃん以上の人に出会えるとは思わないんだよ、Aちゃんとは縁で結ばれた仲だから」
綺麗な琥珀色の瞳が優しく揺れて細められた。
確かに出会ってすぐに惹かれて、こんなにも自分に近い人はいない気がする。
見透かされているし、分かってしまう。
上手く行くようになんて言う駆け引きも出来ない相手で、自分の半身のような人だ。
(そうか……もうこれは……)
私の口から勝手に言葉が溢れる。
「隣に居て……一緒に生きよう、和也くん」
和也くんと私の間の縁は
抗う事の出来ない出逢いであり、逃れられない絆であり
何より幸せな繋がりで
それを二人で繋ぎ合う。これが私の答えだ。
「うん。ずっと、傍に居て？」
「はい」
お互いに自然に差し出した手が触れて強く握りあえば、あとは静かに微笑み合いながらキスをする。
心も身体も温める柔らかなキスに溺れながら考える。
これから……
貴方のそばで息をして、何があってもきっと……私は貴方との縁の不思議と尊さを識るのだろう。
fin
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咲詩(さきうた)(プロフ) - りりさん» りりさん。有難うございます(T_T)こちらにまで……やっと終わりました（笑）そうですね、混沌とした世界に射す光がどうか温かいものでありますように。私たちにも彼らにも。素敵な言葉を有難う御座いました！ (2020年1月22日 22時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やっと読めました！あ、つばきです（笑）たくさん、たくさんの素敵なお話をありがとうございます。これから、鮮やかな彩りに満ちた世界が待っていますように。彼ら5人にも私たちにも (2020年1月6日 23時) (レス) id: 2112e3c25f (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃん。いつも本当にありがとう。そうだね、書いてて痛かった笑……でもその傷があるからこそ縁を感じられて大事にできる人になれるんだと思う。完全なる私の願望だけどね笑今まで本当に有難う (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 郷さん» 郷さん。そうなんですね……私の場合たまたまこのタイミングになってしまったんですが作品についてのお知らせをメッセージさせて頂きますね。読んでくださって大好きと言ってくださって本当に有難うございます。コメントを読んでいて涙が出ました (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐちゃん。ありがとうこちらこそいつも読んでくれてコメントまでくれて感謝しかないし、大好きだよ。今まで本当にありがとう…… (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年10月24日 23時
