11. ページ36
駄目だ
このままでは怒りをぶつけてしまう！
……そう思って拳を握りしめた時、扉が開いた。
「和也、ハユナ……いいから中へ入りなさい」
中から出てきたのは晴兄だった。
「そうさせてもらうよ」
オレはハユナを押し込めながら自分も部屋の中に入る。
来たのは2度目だけど、憎たらしいほど広くて眺望の良い部屋。
高そうな家具が置かれ、キレイに整えられたその部屋は晴兄1人で住むには広い家だ。
ここで二人がと考えただけで吐き気がしてきた。
その大きな窓のリビングで晴兄がソファに座って硬い表情でこちらを見ている。
硬い以外の表情はそこから読めなかった。
ハユナは座れず……オレを見てオロオロしながら部屋を歩いていた。
「座りなよハユ」
見兼ねて声をかけると、ハユナが小さく首を横に振ったが、晴兄が彼女を隣に視線で座るように促せば縮こまりながらも晴兄の隣に距離を置いて座った。
それを見届けると、立ったまま切り出す。
「何か言うこと……ないわけ？」
睨むように二人を見るとハユナが泣きそうな顔でこちらを見上げた。
「あの……カズ……」
何か言いかけた彼女の手を握って晴兄が低く、呻くように言ってきた。
「全ては俺が悪い」
悪びれずに真っ直ぐにぶつけてきたその晴兄の視線に怒りが湧く。
「へぇ……アンタさ、結婚するんだろ？なんでこんなこと」
「結婚は仕事だ。したくてするものじゃない」
「何だそれ、わけわかんねぇ」
仕事？見合いだとしたって、相手を家族にするならそんな発想になんねぇだろ
「お前はまだ若いから分からないだけだ……昨日はすまなかった。ハユナを連れ出したのは俺だ、だから責めないでやってくれ」
しかも晴兄はまるで服を借りて黙っていたけど、返してやるよ……と言ったくらいの軽い口調で淡々と話してきた。
「は？ふざけんな、なんでこんな関係なんだよお前ら、説明しろって言ってんだよ！」
抑えきれない怒りに思わず晴兄に掴みかかって叫ぶ
「カズ、ごめんなさい……あのっ」
「黙ってろハユナ！」
隣の晴兄がハユナを腕で庇うのようにしてオレに向き合った。
「殴ってもいいぞ、それで気が済むなら」
そう言われると殴る気も失せた。その代わりになぜかこう聞いていた。
もっと言いたい事が沢山あったはずなのに……
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咲詩(さきうた)(プロフ) - りりさん» りりさん。有難うございます(T_T)こちらにまで……やっと終わりました（笑）そうですね、混沌とした世界に射す光がどうか温かいものでありますように。私たちにも彼らにも。素敵な言葉を有難う御座いました！ (2020年1月22日 22時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やっと読めました！あ、つばきです（笑）たくさん、たくさんの素敵なお話をありがとうございます。これから、鮮やかな彩りに満ちた世界が待っていますように。彼ら5人にも私たちにも (2020年1月6日 23時) (レス) id: 2112e3c25f (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃん。いつも本当にありがとう。そうだね、書いてて痛かった笑……でもその傷があるからこそ縁を感じられて大事にできる人になれるんだと思う。完全なる私の願望だけどね笑今まで本当に有難う (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 郷さん» 郷さん。そうなんですね……私の場合たまたまこのタイミングになってしまったんですが作品についてのお知らせをメッセージさせて頂きますね。読んでくださって大好きと言ってくださって本当に有難うございます。コメントを読んでいて涙が出ました (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐちゃん。ありがとうこちらこそいつも読んでくれてコメントまでくれて感謝しかないし、大好きだよ。今まで本当にありがとう…… (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年10月24日 23時
