10. ←12/30up ページ35
一頻り泣いてから
ハユとは分かれる決意を固めた。
たぶん、セナちゃんにハユは連絡するだろう。カズに聞かれたら『泊まったことにして』と。
でもセナちゃんはそれがオレでないことに気づくし、もしかしたらオレからも頼まれたことをハユに言うかもしれない。
そしたらハユも気づくだろうし……二人はこのまま一緒にいることは出来ないだろう。
それにしても……
そもそもなぜハユナはオレに好きだと言ったんだ？
初めから晴兄に告白して付き合うことがあの二人なら可能だったはずだ。
オレを巻き込む意味がわからない。
それを知らなければ納得もできないし前にも進めない。
翌朝、オレはハユナに電話をかけた。
「ハユ、今どこ」
『え、だからセナちゃんの……』
「嘘はいいから、どこに居る？あぁ……この趣味の悪い形の高層マンション？」
察しの良い彼女の事だ、この言い方でオレにバレているのが分かったのだろう。
息を呑む音がしたあと、受話器の向こうは沈黙で……彼女は押し黙っていた。
『……』
「釈明くらいしろよ」
吐き捨てるようにそう言うと、晴兄の部屋のインターフォンを乱暴に鳴らす。
『………はい』
少し間を開けて……出たのは……ハユだった。
「開けて」
温度の無い声が自分の口から勝手に出た。
温かいわけもなく、けれど……冷たくなるほどの熱ももはやなかった。
虚無、それが正しいかもしれない。
それは、ただ虚しいだけだったから。
オートロックが解除され部屋に向かうと、扉の前でハユが立っていた。
「おはよう」
「……おはよう……」
にこやかに話しかけたオレを、ハユが怯えた顔で見ていた。
「立ち話はやだよ、中に入れて」
「でも晴、困るから……」
「お前らに拒否権があるとでも？大事にされたくなければ扉を開けろよ」
こんな事態になっても晴兄を庇う気か？
冷静だったはずの頭に血が昇り思わず低い声が出た。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 935人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
咲詩(さきうた)(プロフ) - りりさん» りりさん。有難うございます(T_T)こちらにまで……やっと終わりました（笑）そうですね、混沌とした世界に射す光がどうか温かいものでありますように。私たちにも彼らにも。素敵な言葉を有難う御座いました！ (2020年1月22日 22時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やっと読めました！あ、つばきです（笑）たくさん、たくさんの素敵なお話をありがとうございます。これから、鮮やかな彩りに満ちた世界が待っていますように。彼ら5人にも私たちにも (2020年1月6日 23時) (レス) id: 2112e3c25f (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃん。いつも本当にありがとう。そうだね、書いてて痛かった笑……でもその傷があるからこそ縁を感じられて大事にできる人になれるんだと思う。完全なる私の願望だけどね笑今まで本当に有難う (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 郷さん» 郷さん。そうなんですね……私の場合たまたまこのタイミングになってしまったんですが作品についてのお知らせをメッセージさせて頂きますね。読んでくださって大好きと言ってくださって本当に有難うございます。コメントを読んでいて涙が出ました (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐちゃん。ありがとうこちらこそいつも読んでくれてコメントまでくれて感謝しかないし、大好きだよ。今まで本当にありがとう…… (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年10月24日 23時
