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「じゃあ、また」
ハユナはこちらをあまり見ずにさっさと荷物を持って玄関へ向かう。
なぁ……オレの……身体以外は要らないの？
そこで気付いたんだ。
これはいつも身体だけの関係の女たちにオレがしている事じゃないか？って。
自業自得のくせにそんなのはイヤで、たまらなくイヤで……
気付いたらハユナを追いかけて後ろから抱きしめていた。
「帰んなよ……疲れたなら寝ていけばいいじゃん……」
わかってた。
帰りたいのは疲れたからじゃないことくらい。
ただ、引き留めたかったんだ。
側にいて欲しかった。
だけどハユは小さく息を吐き出すとオレの腕をポンっと叩いた。
「ウチが厳しいの、知ってるでしょ？」
それを言われたらオレは抵抗出来ない。
だから、仕方なく腕を解いた。ゆっくりと……
「カズ……」
解いた腕の外でハユナが微笑む。
「好きよ、カズ……」
「うん、オレも」
潤んだ瞳で紡いだその甘いキミの言葉が
ねぇ……どうしてオレには『好きじゃない』って聴こえるんだろう。
それからも表面上は普通に……二人の交際は続いていった。
会社近くの別邸の高層マンションに行ったまま帰らない両親、兄たちはそれぞれ家を持っていてほぼ帰ってこないから邪魔されずに実家で過ごせていた。
ハユナはそんなオレの家に来ては抱き合って貪り合う。
二人きりのその時だけは熱量が感じられても、デートに行ったってそんなに楽しそうじゃないハユナ。
どうしてか分からなかった。
しかももっと分からないのが自分の気持ちだ。
そもそもハユナの何処が好きなんだろう。
寂しそうな、けれど潤んで綺麗な瞳？
可愛らしい整った顔？
細いけれど実は女っぽい身体？
賢くて、話していても反応が早くて、歳下だけれどそこを感じさせない知性？
……イマイチどれもピンとキテいないんだ。
好みのタイプって訳でもないと思う。
だけど他の女の子みたいに、じゃあ……さっさと別れれば？とはならない。
頭ではそうした方がラクになるのは分かっていても、それを心が良しとはしなかった。
悶々としながら煮え切らない、振り向いた感じがしないハユナと接し続ける。
あれは……一年が過ぎようとした冬の終わり、春の入り口の頃だった。
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咲詩(さきうた)(プロフ) - りりさん» りりさん。有難うございます(T_T)こちらにまで……やっと終わりました（笑）そうですね、混沌とした世界に射す光がどうか温かいものでありますように。私たちにも彼らにも。素敵な言葉を有難う御座いました！ (2020年1月22日 22時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やっと読めました！あ、つばきです（笑）たくさん、たくさんの素敵なお話をありがとうございます。これから、鮮やかな彩りに満ちた世界が待っていますように。彼ら5人にも私たちにも (2020年1月6日 23時) (レス) id: 2112e3c25f (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃん。いつも本当にありがとう。そうだね、書いてて痛かった笑……でもその傷があるからこそ縁を感じられて大事にできる人になれるんだと思う。完全なる私の願望だけどね笑今まで本当に有難う (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 郷さん» 郷さん。そうなんですね……私の場合たまたまこのタイミングになってしまったんですが作品についてのお知らせをメッセージさせて頂きますね。読んでくださって大好きと言ってくださって本当に有難うございます。コメントを読んでいて涙が出ました (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐちゃん。ありがとうこちらこそいつも読んでくれてコメントまでくれて感謝しかないし、大好きだよ。今まで本当にありがとう…… (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年10月24日 23時
