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「あ……そ、よかったね」
だから誤魔化すように下を向いて答えると、ハユナは無邪気にそれを下から覗き込む。
「嬉しく……なかったですか？」
その瞳の潤みが見えて不覚にも胸が跳ねる。
女の子なんて何人も付き合っていたし、綺麗な子だって沢山見ていたけど……
ハユナの澄んだ瞳には『無邪気』が溢れていて、誰にも汚されていない『無垢さ』があって
……何故かそれに抗えなかった。
「もちろん嬉しいよ？」
手で頭を撫でながら、目を細めて微笑んで見せる。
「それならよかった！」
オレの言葉に無邪気に笑う彼女をそっと見つめながら
この頃から……早く大人になってよ。と願うようになった。
ハユが高校を卒業する頃……3月の事だった。
オレはまだ2年生ではあったけど、相葉社長と組んでネットショップを立ち上げてたんだ。
最初はセレクトショップ……と言えばカッコイイけれど、何でも屋みたいな雑貨屋だった。
独特のセンスで相葉社長が創る雑貨と、オレが探してきた雑貨を売ったりし始めてた。
とにかくそれが楽しくて、大学は試験も終わってたし、2年までで単位もほぼ取れてきそうだったから、そっからはほぼ行ってなかった。
あとは卒業だけすればそれでいいと思っていた。
そんなある日、いつも居ない父が珍しくリビングにいて、話しかけてきた。
滅多にオレに話さないのに……
「最近、遊びで商売をしているのか」
しかもその言葉はそんな冷たい言葉だった。
「遊びって……まぁネットだけでの店舗で実店舗はないけど……遊びではないよ」
その時の煙たそうな顔の父にむかっ腹がたったけれど
実業を継いで数千人、下請けも合わせれば数万人を動かす父にすれば、オレの仕事なんてママゴトみたいに見えたんだろうな。
「ふん……まぁ大学は卒業しなさい……その後は家を出るんだろう？」
まるで早く家を出ろと言う口ぶりだ。
確かに育てて貰った恩はあるけれど、父は兄たちに比べて幼い頃は体も弱くてひねくれ者だったオレを評価せず、いつも冷たくて……。そんな父に母も同調してて、オレには居場所がなかった。
両親からの愛を欲しがるような小さな子どもではもうなかったけれど、やはり辛くて
それに耐えかねて一刻も早くここから出たいと願っていた。
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咲詩(さきうた)(プロフ) - りりさん» りりさん。有難うございます(T_T)こちらにまで……やっと終わりました（笑）そうですね、混沌とした世界に射す光がどうか温かいものでありますように。私たちにも彼らにも。素敵な言葉を有難う御座いました！ (2020年1月22日 22時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やっと読めました！あ、つばきです（笑）たくさん、たくさんの素敵なお話をありがとうございます。これから、鮮やかな彩りに満ちた世界が待っていますように。彼ら5人にも私たちにも (2020年1月6日 23時) (レス) id: 2112e3c25f (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃん。いつも本当にありがとう。そうだね、書いてて痛かった笑……でもその傷があるからこそ縁を感じられて大事にできる人になれるんだと思う。完全なる私の願望だけどね笑今まで本当に有難う (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 郷さん» 郷さん。そうなんですね……私の場合たまたまこのタイミングになってしまったんですが作品についてのお知らせをメッセージさせて頂きますね。読んでくださって大好きと言ってくださって本当に有難うございます。コメントを読んでいて涙が出ました (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐちゃん。ありがとうこちらこそいつも読んでくれてコメントまでくれて感謝しかないし、大好きだよ。今まで本当にありがとう…… (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年10月24日 23時
